ハリーポッターと炎のゴブレット

ハリーポッターと炎のゴブレット

さてさて、前々々回前々回、そして前回と、映画レビュー界の常識を根底から覆す「ハリー&ポッター、見てもないのにレビュー」という、ある日家に帰ったらウチの寝たきり爺さんがガラス製の灰皿を振り回して大暴れしていた時並みの衝撃の内容をお送りいたしました。ホント、あれはびっくりした。

ハリー&ポッターと賢者の石」では、ロス市警の刑事ハリーとポッターの凸凹コンビが伝説の「賢者の石」を巡ってカルト宗教団体と対決しました。

ハリー&ポッターと秘密の部屋」では、ハリーとポッターが休暇先のアリゾナで殺人事件に巻き込まれ、秘密の部屋に隠された謎に迫りました。

そして、「ハリー&ポッターとアズカバンの囚人」では、刑務所転覆を企むテロ組織と対決。ハリーとポッターの血みどろの決闘が話題を掻っ攫いました。

映画のタイトルだけでその内容を予測し、的確にレビューするのは大変難しいことです。しかしながら、あまりに衝撃の内容だったのか、それとも僕のレビューが大変的確なのか、前回の「ハリー&ポッターとアズカバンの囚人」編のレビューを上げた直後、多くの読者様から反響メールが届いたのです。

「とても面白かったです」

「感動しました」

「続編もお願いします」

肯定的な感想メールを下さった方が約3名。

「つまらん、死ね」

「全然ちがうじゃねえか」

否定的な感想メールを下さった方が約12名。

「なんていうか、適当に書いてますよね」

痛いところを的確に見抜いた人が約1名。

「僕のハーマイオニーたんが初潮を迎えたよ!」

頭の狂ってらっしゃる方が約1名。

合計で17通もの反響メールを頂きました。あまりの多さに僕のメールボックスがパンクするかと思いました。

というわけで、肯定的な感想メールを下さった3名の方の要望に応えて、今回も先日から公開が始まった「ハリーポッターと炎のゴブレット」のレビューをしたいと思います。待ちに待ってた3名の方、ついにきましたよ。

そんなこんなで、もちろん、今作品もビタイチ見ていないのですが、はりきってシャカリキにレビューしてみたいと思います。それではどうぞ。

見てもないのに映画レビュー
「ハリー&ポッターと炎のゴブレット」


真っ暗闇の中、怪しげな音楽が流れる。遥か先の方に小さな光が見え、それにカメラが徐々に近づいていく。そして画面中央にはカッコイイ筆記体で英語が表れる。翻訳すると、「時は1970年代」「冷戦の時代」「ソ連科学技術アカデミー」と表示される。どうやら物語は米ソ冷戦時代のソ連から始まるらしい。

画面中央に白衣を着た科学者風の男が二人。何やら布をかけられた巨大な物体の前で談笑している。

「これさえあれば、これさえあれば、長年の悲願が」

「むう、炎のゴブレットですな」

「ああ、長い歳月を経てついに実現したのじゃよ」

「これで我がソ連も安泰と言うことですな、ハハハハハ」

「グワッハッハッハッハ」

ここで暗転。怪しげな鳥が舞うCGが映し出され、そのままドーンと「ハリーポッターと炎のゴブレット」とタイトルが映し出され、今作品から変更された主題歌、エミネムの「コーラを飲んで胸焼けがするナイト」が流れる。なかなかポップでダンサブル、それでいて切なくなるナンバーだ。

歌が終わると画面が切り替わり、2005年現在のロサンゼルスの街の喧騒を映し出す。人々が平和に暮らし、多数の人が往来を行き来する。活気溢れるロサンゼルスの街だ。

場面はロサンゼルスの高級ホテルのパーティールームに変わる。多数の人がドレスアップし楽しそうに談笑している中、前方に置かれた演台にタキシードを着た初老の紳士が駆け上がる。ロサンゼルス市長だ。

「今日はここロスの地ビールを飲む会に賛同して集まっていただき大変ありがとうございます。この地ビールを機にロスの町興しを発展させていきたい」

市長は一通り挨拶を済ませると、乾杯の音頭に移った。

「お手元のグラスに入っているのがロスの地ビールです。豊潤なロスの大地で育った麦芽をふんだんに使用しました。ロスだけに雑味をロスさせました、がっはっはっは」

たぶんアメリカ人特有の小粋なジョークなのだろうけど、奈津子さんの翻訳ミスなのか、あまり面白さが伝わってこなかった。

「それでは、乾杯!」

パーティールーム内の全員がグラスを掲げ、一斉に乾杯をした。そんな会場の片隅にハリーとポッターはいた。

ハリーはいつものようにダブルのスーツをパリッと決めているが、服飾に無頓着なポッターはタンスから引っ張り出してきたであろうツンツルテンのスーツを着てドギマギしていた。

「おい、落ち着けよポッター、キョロキョロするな」

「だってよ、こんな場所始めてだもんよ」

何故こんな場違いな場所にハリーとポッターがいるのかというと、数日前、連邦捜査局からロサンゼルス市長暗殺計画があるとの通達を受け、現場を仕切る刑事としてロス市警のハリーとポッターが市長の護衛についていたのだった。

ハリーはいつものようにドレスの美女を見つけては、グラスをかざし、「君の美しさにビールも泡吹いちゃってるよ」とクサいセリフで口説く。ポッターは並べられたオードブルを平らげそうな勢いでむしゃぶりついていた。

そこに先ほど壇上で挨拶をしたロス市長がやってきて二人に話しかける。

「君たちが護衛の?話は聞いてるよ。よろしく頼むよ」

グラスの中の地ビールをグイと飲み干し、気さくに話しかける市長。

「はい、がんばります!」

箸を止めて返答するポッター。ハリーも女性と話をするのを中断し、

「おっと市長、グラスが空いてますよ」

と抜け目なくゴマすりを開始する。その言葉を聴いて市長はこう切り出した。

「君ィ、これはグラスじゃないよ。ゴブレットって言うんだ。こうしてね、コップに脚がついたものはゴブレットって言うんだよ。ワイングラスより面長の脚付きコップ、それがゴブレットなのさ」

「そうなんですか、それは失礼しました」

神妙に謝るハリー。それ受けてポッターも

「ハリー、このウィンナー、死ぬほど美味いぜ!目が覚める美味さだ!」

と関係ない話を切り出す。この時のハリーの「あちゃー」と言う顔が妙に印象的だった。

「まあ聞きなさい」

それでもお構いなしに市長の話は続く。

「そもそもゴブレットはどうしてこういう形状になったか教えようじゃないか」

こうなてくると年寄りの話は長いからウンザリだ。長い日記サイトよりウンザリだ。しかし、ウインナーを頬張るポッターを尻目に、ハリーは笑顔で頷いて話を聞いた。

「水をコップに入れておくといつの間にか減ってるだろ?あれはまあ、中の水が少しづつ蒸発するからなんだが、昔の人は地面に吸い込まれると考えたわけだ」

饒舌な市長の話は止まらない。

「そして、祝杯やらからも分かるように、昔の人は杯やコップで幸せが掴めるものだと考えていたんだよ。乾杯ってのは杯を空にしてそこに幸せを入れようって意味だ。そして、入れた幸せが地面に逃げてしまわぬよう、このように脚をつけて地面との接触を避けた、それがゴブレットの始まりなのだよ。幸せが逃げないようにね・・・。」

「なるほど」

意味深に空のグラスを、いやゴブレットを傾ける市長。長々とした市長の話にうんざり顔のハリー、ご満悦の市長、次はフォアグラに手を出し始めるポッター。ここで場面が切り替わる。

ロサンゼルスの中心地に位置する大通りの交差点。なかなか変わらない信号にイライラしながら信号待ちをする青年。イライラが頂点に達した青年は角のタバコ屋でタバコを購入しながら、店の婆さんに話しかける。

「まいるよ、ここの信号は全然青にならない、日が暮れちまうぜ」

文句をいながら信号を見つめ、タバコの封を切る青年。そこに、急に日陰になったかのような巨大な影が青年は勿論、交差点全体を覆う。まるで、夜になったかのように真っ暗な影に包まれた。

青年はおかしいな、と思いつつも、信号が変わらないことにイライラしながらタバコに火をつける。すると、ふっと信号の電気が消えたのだ。赤を表示するでもなく、青に変わるでもなく、ふっと電気自体が消えた。そこで何らかの異変を感じ、空を見上げた青年、そこで大きな悲鳴を上げてその場に座り込んでしまう。

通り向かいにあるピザ屋の黒人店員は、店の前を掃除していたのだけど、急に落ち葉が舞い上がり、真っ暗になったものだから空を見上げて目を見開いて驚く。

信号が止まったためか、誰もが空を見上げて謎の影の正体を探っているためか、交差点ではガンガン黄色いタクシーが衝突。玉突き事故になって大変な騒ぎに。白人女性が「オーマイガ!」とか言ってる。

場面は戻り、地ビールの試飲会場。まだ市長の長い話に付き合っているハリーに、さらにはチーズケーキに手を出し始めたポッター。テーブルの上に置かれたゴブレットになみなみと注がれた地ビールの液面が、いつしか振動と共に波打ち始める。そしてドーンという衝撃と共に建物自体が傾いた。

テーブルがすべる様に動き出し、シャンデリアが落ちる。パニックになるパーティー参加者たち。ハリーは懐から拳銃を出して構えた。

「なんだ!?テロか!?ポッター、市長を守れ!」

動転している市長をポッターに預けると、ハリーは何が起こったのか見届けるため銃を構えたままホテルを飛び出した。

そこには衝撃の光景が待っていた。なんと、ホテルの外にはビルほどありそうな巨大なロボットが立っていたのだった。

「ジーザス!どういうことだ!」

ロボットは、ホテルにぶち当たって一瞬止まったものの、意に介さず歩みを進めていく。まるでどこか目的地があるかのように進んで行った。

ハリーの無線に連絡が入る。

「ガーガー、ロス市内に巨大ロボットが出現。ビルを破壊しながら北西の方向に進行中」

「どういうことだ!」

その辺に乗り捨ててあった車に乗り込むハリー。そして逃げ惑う車の列で渋滞するストリートを縫うように逆送し、ロボットの追跡を始めた。

刑事になって以来、ハリーは様々な事件に出会った。殺人事件にカルト教団、テロリストとも対峙した。しかし、まさかロスの街を巨大ロボットが襲うなんて想像だにしていなかった。しかし、現実は間違いなく目の前に存在する。そう、間違いなく巨大ロボットなのだ。今まさにビルが破壊されているのだ。

この巨大ロボがビルを破壊するシーンは圧巻で、なんでも最近流行のCGを一切使ってないとか。撮影費用にいくらかかったのか気になって仕方ありません。

「どこまでいこうっていうんだ!」

ビルをものともせず進んでいく巨大ロボット。道路は渋滞しているし道は踏み荒らされているしでなかなか追いつけないハリー。そこにまた無線が入ります。無線の主は課長で、ハリーに向けてのものでした。

「ハリー、現在地はどこだ。空軍の戦闘機が4機出動した。これから戦闘機が追跡する。巨大ロボの動力は原子力と想定されるため、爆発の危険があるため市街地では攻撃できない。ポッターと一緒に一旦署に戻るように。市長の護衛には代わりの者をいかせる」

署に戻ろうと車をUターンさせるハリー。署に戻ります。

混乱の中、署に戻ったハリー。ホテルに戻ったものの既にポッターと市長の姿はなく、仕方なく一人で戻ることになった。署内では全職員が総出でロボットの対応に当たり、その中心で課長が指揮を執っていた。

「巨大ロボの国籍は不明。現在は進路をわずかに変えて更に移動中」

目撃情報と空軍からの情報を基にロス市内の地図に巨大ロボの軌跡を黒人婦警が書き込んでいく。

「課長!あのロボットは一体何なんですか!」

「ワシにもわからん!ただ専門家の話ではあれだけのロボを動かしている動力は間違いなく原子力。市街地での攻撃は不可能と言うことだ。一刻も早く市民を避難させる必要がある」

「ポッターは、ポッターは戻ってないのですか?」

「ポッターなら市長と一緒にヘリで避難したそうだよ。一刻も早く我々も避難せねばならん」

忙しそうに走り回る署員。鳴り響く電話。そんな中で課長のデスクの電話が鳴った。電話を取った課長は神妙な面持ちで何度か頷くと静かに受話器を置いた。

「大変なことになった。我々も早く避難しよう」

まだ十分に避難できてない市民を差し置いて逃げ出す準備を始める課長。ハリーが詰め寄った。

「どういうことです!まだ市民の避難が十分ではない。我々が誘導しないと・・・」

しかし、全く聞き入れる様子なく、荷物をまとめて屋上に向かう課長。あまりの無責任さに腹が立ったハリーは屋上でヘリに乗り込もうとする課長に掴みかかった。

「逃げるなんてそれでも市民の命を預かる警察か!」

しかし、課長は意に介さず。

「もうそんな段階ではないんだよ、あれを見たまえ」

課長が指差した先には、破壊されて煙が上がる街並みの向こうに忌々しき巨大ロボが見えた。そして、その反対がに同じ程度の大きさだろうか、もう一体の巨大ロボの姿が見えた。

まさか、もう一体の巨大ロボが街を破壊に・・・!?いや違う、もう一体の方は同じような型であるが、そのボディには星条旗があしらわれている。我ら米国民の誇りである星条旗が。

「あれは、アメリカ産・・・?」

「ああ、そうだ。このような事態を想定し、ロサンゼルス市が秘密裏に製造しておいたものだ。テロ対策を公約に掲げた市長の政策でな」

「あんな巨大なロボを税金でか・・・?」

「ああそうだ、ここはロボット同士の戦いで危険だ。多少の犠牲はやむえん。さあ、お前も避難するんだ」

しかし、市民の命を守ることを選んだハリーはヘリに乗ることを拒否し、なんとか対策はないものかと捜査本部に戻った。

捜査本部内はほとんどの署員が避難しており人影もまばら。閑散としていた。ハリーは、最初に登場した巨大ロボが辿った足跡を記した地図と睨めっこし、そこに新しく現れたアメリカ側のロボの位置を書き込んだ。

「まさか、このままいけば、まさにロスの中心で2台のロボが鉢合わせになるじゃないか!」

突如現れた巨大ロボ、そして不自然なほどに用意周到に用意されていた米国側の巨大ロボ。その2体のロボは不気味なほど格好が似ている。おそらく、どちらのロボも動力は原子力・・・。そしてロスの中心で鉢合わせ・・・まさか!

その時、捜査本部内に置かれたテレビが米国側の巨大ロボを映し出した。果敢にもマスコミのヘリが接近して撮影しているのだろう。かなり近いのかコックピットに乗り込む人間の姿が見える。

「ポ、ポッター!?」

そこには小太りなハリーの相棒、ポッターの姿が。

どうして米国側の巨大ロボの操縦席にポッターが。ヤツは市長と一緒に避難してるはずじゃなかったのか。どうしてあんな場所にいるんだ。

「なんにせよ、あのロボを止めなければ大変なことになる」

ここからはまあ、色々と紆余曲折あるのですが、決して面倒になったとかそういうのではなく、ネタバレを防ぐために是非とも劇場にて皆さんの目で確認して欲しい。ネタバレを防ぎつつ端折って説明すると、ハリーが愛車のシボレーでロボを止めに行きますが見事返り討ちにあいます。シボレーがロボに破壊されるシーンは壮絶で、あまりに過酷だったのか、このシーンの撮影のためにADが7人死んだそうです。

そして、命からがら逃げ込んだ地下室で謎の科学者ミカエルに出会います。ミカエルは旧ソ連に精通している科学者で、最初に登場した巨大ロボが旧ソ連で作られたものであると知らされます。

「ソ連で作られたロボだって?」

「ああそうじゃ、冷戦時代にソ連が打ち出した炎のゴブレット計画のために作られたのじゃ」

その計画というのが、巨大ロボに搭載した原子力による爆発で、米国の東海岸に位置する都市、つまりロサンゼルスを破壊し、大きな穴を開ける計画だったのです。破壊するだけでは飽き足らず、ロスを巨大クレーターにし、米国民を失意のどん底に落とし込む計画だったようです。

「ロスを巨大なクレーターにする。つまり、コップのような状態にするんじゃよ。焼け野原、焦土と化したロスにコップ状の巨大な穴を開ける、それが炎のゴブレット計画じゃ」

しかし、この計画も冷戦時代の終結、ソ連の崩壊と共に頓挫し、実行に移されることはなかった。その後、巨大ロボの行方は分からず、人知れず廃棄されたことになっていた。

「ソ連が崩壊しなくとも、あの計画は実行に移されることはなかったじゃろう」

「どうしてだ?」

「もともと無理じゃったんだ。巨大ロボに搭載された原子力の規模ではクレーターにするだけの爆発が起こせなかったんじゃ。せいぜい街を焼き払うくらいじゃな。そこがどうしても最後までクリアできず頓挫したんじゃ」

「ちょっと待ってくれ、1台の巨大ロボでは爆発力が足りない・・・?じゃあ、2台だったら・・・。いかん、ロボを止めねば!」

またも走り出すハリー。しかしロボを止める術がない。

「止まれ、止まるんだ!ポッター!そのまま行くと二台のロボが爆発してしまう。止めるんだ!」

しかし、何者かの催眠状態に陥ってるポッターの耳には届かない。ただまっすぐロボを動かすのみ。向こう側には同様にこちらに近づいてくる巨大ロボが見えた。もう時間がない。

「目を覚ませ!目を覚ますんだポッタアアアアアア!」


場面は変わり、薄暗い秘密の隠れ家。そこでゴブレットを傾ける一人の男が。

「もう少しだ。もう少しで悲願が達成される。これで許してくれるか・・・ジョージよ・・・」

グイとゴブレットに注がれたビールを飲み干す。その傍らにはロス産の地ビールが。

「そこまでだぜ!」

そこに突如現れたハリー。

「そこまでだ!」

ポッターも。

「ど、どうして貴様がここに!今頃ロボの中で爆死しているはず!」

「ロボなら止めさせてもらったぜ!ポッターが直前で催眠から目覚めたもんでな。緊急停止ボタンを押させたよ。催眠状態でも腹は減るらしく、朦朧としながらパーティーでくすねたウィンナーを食ったそうだ。いってただろ、あまりの美味さに目が覚めるって。それで正気に戻ったのさ!」

「俺に催眠術をかけるなんてふてえやろうだぜ!」

得意気にポッターが言う。そしてハリーが続ける。

「ソ連時代の炎のゴブレット計画を知ったアンタは第三国を通じて巨大ロボを手に入れた。そして、爆発力が足りないと見るや、権力を活かして税金でもう一台のロボを作成し、戦わせ爆発させることを計画した。そうだろう。アンタの提案でロボを作成したんだからな、市長さんよ!」

そこにはあの市長の姿が。なんと黒幕はロス市長だったのです。

「アンタはベトナム戦争で息子のジョージを亡くしている。それで米国に恨みを持ち、こんな復讐を考えたのだろう!」

「ちがう。ちがうんだ。私はアメリカを憎んでなんかいない。ジョージの死も国のためだと理解している。ただ、ジョージが子供の頃に言っていたゴブレットを作ってやりたかったんだ。口癖のように言っていた、大きな幸せを入れるゴブレットを。そこで旧ソ連の炎のゴブレット計画を知り・・・」

ここで市長が若くて息子ジョージが子供で、ゴブレットに幸せをどうとか回想シーンが流れます。そして、ベトナム戦争の映像と、ジョージの戦死を知らせる手紙を受け取る市長の映像が。

「それでロス全土をゴブレットに・・・スケールがでかい話だねえ」

「市長さん、あんた間違ってるぜ!ゴブレットに入れる幸せはビールなんかと違う、大きさなんて関係ないのさ。小さな1杯のゴブレットにいくらでも入るんだ!それぞれの心の中にある小さなゴブレットにな!黒人も白人も関係ない!」

感動しました。

「ワシが間違っておったのか・・・ジョージ・・・」

ここで事件解決となるのですが、観念した老人すら容赦しないのがハリーの魅力、得意のカンフーで市長をボコボコにすると満足気な顔で現場を後にします。

同時に一斉に警官隊が雪崩れ込みます。その様子を見ながらポッターが一言。

「市長さん、アナタ言ったじゃないですか。ゴブレットは幸せが地面に逃げないようにグラスに脚をつけたものだって。ロスでロボを爆発させても・・・ゴブレットにはなりませんよ。だって脚がないんだから。幸せが地面に逃げちゃいますよ・・・」

がっくりとうなだれて逮捕される市長。

そしてウィンナーを食べながら去っていくポッター。

アパートの窓から月を眺めながら、ハリーはゴブレットに注いだ地ビールを飲み、涙するのでした。その涙の理由は今は誰も知らない。

ここでエンドロールが流れ、新しく採用となったエンディング曲であるジャネットジャクソンの「深爪した次の日のスロット」が流れる。物語にあった非常に切ない曲に席を立つ観客は皆無。場内からはすすり泣く声も。

そしてズババーンと次回作「ハリー&ポッターと不死鳥の騎士団」の予告が登場。なんでもロスの街に巨大UFOが襲来。ハリーとポッターが宇宙空間で大暴れするそうです。ここまで来るともはや刑事映画の域を超えています。

そんなこんなで、今回の「ハリー&ポッターと炎のゴブレット」大変考えさせられる非常に素晴らしい作品でした。

「ハリー&ポッターと炎のゴブレット」見てもないのにレビュー終わり。

いちおー信じられないことですが、分からない人のために書いておくと、現在絶賛公開中の「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」とは似ても似つかない内容です。ご注意ください。

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