コカコーラ万能説

コカコーラ万能説

patoさん質問です。コカコーラで火を起こすことはできるでしょうか?(愛知県メダカさん23歳)

大変良い質問です。いや、大変頭のおかしい質問です。何を食って育ったらこんな発想に行き着くのか。コカコーラと火が結びつくのか。果たしてこの質問が解決して誰が得するのか。許可さえ取れて刑法に抵触しないのならば是非とも頭の中を覗いてみたいものです。

さて、生まれてこの方コカコーラばかりを飲んで暮らし、いつぞやはコーラのみで1ヶ月間を生き抜くという偉業を達成、モンゴルの蛮族とコーラを巡る激しい略奪戦争を経験した自他共に認めるコーラ親善大使の僕ですが、稀にこのようなコーラに関する質問を頂戴することがあります。

それこそ、コーラを飲むとキチガイになるんですか?コーラを飲むと骨が溶けるんですか?膣をコーラで洗えば妊娠しませんか?などなど、みなさんコーラに興味津々、特に最後のはこっちが知りたいくらいです。

さて、それでは質問の回答ですが、単刀直入に答えだけ言ってしまうと、コカコーラで火を起こすことは「可能」です。どのようにして可能なのか、順を追って説明していきましょう。

この現象を理解するには、はじめにコカコーラの持つ万能性について理解しなくてはなりません。ハッキリ言ってしまうと、コカコーラという飲み物はすでに飲料の域を飛び出し、何でも出来る物体になっています。コカコーラを利用すればこの世の中の大半の現象が説明できる、大半の問題が解決すると言っても過言ではありません。それを考えれば火を起こすなんてちょろいちょろい。

このような「コカコーラ万能説」は古くは欧州の哲学者の間で有名であり、度々議論されてきましたが、その万能性を危惧した石油メジャーの手によって封殺されてしまいました。同時にコカコーラで骨が溶ける、頭がおかしくなる、といった皆さんご存知のネガティブキャンペーンも行われ、それが今日まで続いているのです。

日本においても、古くは万葉集の時代からコーラの万能性が説かれ、「伊香保嶺に神な鳴りそね わが上には故はなけども コーラによりてぞ(万葉集3440)」と歌われています。これは現代語に訳すと「伊香保の山の雷さま、どうぞ鳴らないで下さい。私はなんともない、コーラを飲んでいるから」という意味で、神々の怒りである雷の恐怖すらもコーラを飲んでいれば大丈夫という意味、当時からコーラは万能な飲み物として重宝されていたことが伺えます。まあ、分かってると思うけど全部嘘です。

とにかくコカコーラは万能、そんなことを知らしめる事件がありました。上司と一緒に仕事上の得意先のお偉い人と焼肉を食べに行った時のお話です。運転手として駆り出されていた僕はビールも飲まずコーラを飲んで肉を食べていたのですが、そこで隣のテーブルに目がいってしまったのです。

「イッキしようぜ!イッキ!」

「えーマジで!」

「やっちゃえやっちゃえ!」

隣のテーブルでは血気盛んな若者たちが騒いでおりました。年の頃は20才前後でしょうか、最近ではダルダルのズボンを着るのが流行ってるらしく、ちょっとだらしない、なんかパンツとかはみ出しちゃってるファッションに身を包んだ若者たちでした。

男の子たちは何やら「イッキ」がどうのこうのと騒いでおり、僕としてはあの不死身の男がまたもや地獄より蘇るのかと期待したのですが、どうやらそうではなく、なんかお酒を一気飲みする様子でした。

沸き立つ男性陣の対面には女性が3人座しており、それこそそういう仏像なんじゃなかろうかというほどに微動だにせず、凛として鎮座しておられました。

つまりはこういうことなのだと思います。先ほどから男女間で交わされている会話から推察するに、どうやらバイト先か何かの関係がある男女が互いの友人を招いて食事会を催したようなのです。つまり、参加者のほとんどが初対面という、聞くだけで胃が痛くなる状況。

そうそう、そういえば全然関係ないですけど、コーラってムチャクチャ胃に良いんですよ。皆さんも朝起きた時に胃がムカムカする、などの諸症状に悩まされたことがあるかと思います。そんな時は起きた時にチョロっとコーラを飲む。するとコーラの刺激で胃が活発に動き出して気分爽快、というわけです。我々専門家の間ではこの行為を「コーラで胃を起こす」といってます。これもコーラの万能性を示す一つの事例ですね。

さてさて、話を隣のお食事会の男女に戻しますが、もう見るも無残というか何というか。おそらくお互いに期待していた何かと違っていて全く盛り上がらない焼肉会になってた。お通夜みたいな雰囲気に焼肉のジュージューって音が響いててシュールだった。こういった場合、男と女では対応が全く違ってくる。

初対面の男の子数人と焼肉に行く。こうなった場合、女の子は色々と想像する。超絶イケメンがきて口説かれたらどうしよう、勝負下着つけていかなきゃ、ブラとパンティは同じ色のを着ていかなきゃ、などと妄想に華が咲くことだろう。しかし、待ち合わせにやってきたのはイケメンじゃなくてコミックバンドレベル。こうなった場合、女ってのは思いっきり不快感を顕にしやがる。下手すると目の前のコミックバンドをガン無視して携帯メールに興じる始末だ。

逆に男の方はどうだろうか。やはり、初対面の女の子数人と焼肉に行くとなると同じように妄想する。下半身を洗っていかないといけない、皮を剥いておかねばならない、チンポコに香水かけておこう、チンポコにトリックアートを施して大きく見せたい、くらい考えるかもしれない。しかし、待ち合わせに現れたのはコミックバンチレベルの女たち。あんまり売れていない漫画雑誌レベルのお粗末さ。こうなった場合、まあ、男の方の性格にもよるだろうけど男ってのはそこまで不快感を顕にしない。むしろ盛り上げようと奮起するはずだ。

隣りのテーブルにはそんな構図が思いっきり凝縮されて存在していた。ジュージューと肉が焼けるサウンドのテンションの高さに反比例して明らかにブスどものテンションが低い。それをなんとか盛り立てようと頑張る男性陣。男尊女卑なんてウソだろ、と言いたくなるほど必死なサムライたちの姿がそこにあった。

「イッキしようぜ!」

もう何をやっても盛り上がらない。メガネをかけたガリガリな男(みんなにはシャムって呼ばれてた)の海釣りに行って海に落ちた話も全くウケなかった。もう残された道はイッキしかなかった。彼は苦しみのあまり禁断の領域に手を出すしかなかったのだ。イッキなんてとても危険だし、あまり褒められたものではない、けれども、そうするしかないほどに追い詰められた彼の心情も慮ってやってほしい。

「お!いいね!いいね!」

「やっちゃえやっちゃえ!」

霜降りロースよりも重厚な空気が流れる中、男性陣は同様に窒息しそうなほどの重苦しい空気を感じ取っていた。ガリガリメガネ(シャム)のイッキ立候補は彼らにとっても助け舟だったのだろう。一斉に囃し立てて盛り立てた。

「がんばれ!」

こんな雰囲気、イッキ一つで変わるとも思えない。死に行くと分かっていても行かねばならない男たち、たぶん戦時の特攻隊なんかもこんな気持ちだったのだろう。なんでこうも死地に向かう男たちってのは熱いんだ。僕は上司の話そっちのけで心の中でエールを贈った。

いよいよ生ビールジョッキが運ばれてくる。ここはもうシャムのステージだ。シャムオンステージ。焼肉の煙も彼のためにあつらえたスモークのように見える。

「イッキいきます!」

シャムの宣言に携帯電話に夢中だった女性陣の注目も集まる。その瞬間だった。女性陣の中でも特段のブス、いうなれば100円ショップで100円ルアーを買い漁ってそうなブスが急に立ち上がって叫んだのだ。

「ちょっと!イッキ飲みとか何考えてるの!急性アルコールとかで死んじゃうんだよ!」

正論だ、正論。確かにイッキ飲みなんてやるものじゃない。ブスの言うとおり急性アルコール中毒の危険もあるし、そんな危険な飲み方したって誰も得しない。それを注意するのなんて全くの正論だ。しかし、今、その正論が必要だろうか。果たして本当にその正論が必要だったのだろうか。

「いや、あの、その…」

悲しく宙を舞う生ビールジョッキ。シャムの右手に握られたそれからはイヤミなくらいに元気良く泡が立ち上っていた。おめえどうすんだよこれ、盛り上げようと頑張ったシャム涙目じゃん。シャムの立場はどうなるんだよ。お前らが携帯電話ばっか見て牛タンしかくわねえからシャムが追い詰められたんだろうが。ブス、バカ、アホ、ボケ、ウンコ、コーン。

ハッキリ言って隣のテーブルの雰囲気は最悪。いざ鎌倉へと意気込んだところを止められたシャムなんか意気消沈しちゃってイッキするはずだった生ビールをチビチビやりだした。そして、女性陣は相変わらず携帯電話に夢中、女性陣同士で着メロの自慢大会とかやりだしてた。参加していた男性陣全員、その様子を見ていた僕、誰もがもうダメかと思ったその瞬間だった。

「じゃあ俺、コーラでイッキするわ」

奇跡が起きた。シャムはまだ死んではいなかった。おもむろに大ジョッキのコカコーラをオーダーすると、あっという間に運ばれてきたそれをイッキに飲み干していた。

この安定感。この万能感。窮地に陥ったシャムや男性陣を救ったコカコーラ。急性アル中で止められようと関係ない抜群のレスポンス。飲んだ後のゲップ連発、全てがコカコーラに秘められた希望という名の宝石だった。コカコーラが彼らを救ったのだ。まあ、女性陣はガン無視で携帯のデコレーションとか始めてたけど。

とまあ、あらゆる面で大活躍のコカコーラ。質問の内容に戻るのだけど、気まずい合コンの場面を救ってくれる位だ、当然のことながら火を起こすなんて造作もないこと。ここはいっちょ軽快にコカコーラで火を起こして質問主にその模様を見せ付けてやる。そうすることでまた悩める質問主を救うことができるのだ。何たる万能さ、コカコーラ。

まず初めに、コカコーラで火を起こすことを考える場合、当然ながらコカコーラが液体であるという部分に着目しなければならない。液体と火ってのは相反するものでなかなか繋がらない、これらを身近な品物で繋げてこそ悩んでしまって自殺しそうな質問主を救うことになる。

では、液体と火という難題は置いておいて、コカコーラ自身が持つポテンシャルに注目してみよう。巷ではどうやら「コカコーラメントス」という児戯が流行しているらしく、特にアメリカ人どもはコカコーラにメントスをぶっこんで「クール!」とか叫んでるらしい。そりゃ日本も戦争に負けるわ。

これはまあ、簡単に言ってしまうと単純にコカコーラが泡立つってのはコーラ内の二酸化炭素が出てくるって部分に着目し、メントスがその二酸化炭素の発生を促すというもの。沢山のメントスをドコドコっとコーラの中に入れると爆発的に二酸化炭素が発生してコーラが噴出するらしい。ドラッグきめてるアメリカンはそれで大喜びっすよ。

そんなこんなでこの爆発力はコーラの発火に使えるぞってことで実際にやってみました。

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コーラ(500ml)

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メントス(グレープ味)

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これを思いっきりコーラの中にぶち込みます。

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なんですかコレ。

え、なにこれ、アメリカ人とかこんなんで喜んでるの?バカなの?っていうか飲み物で遊ぶなよ。そりゃサブプライムローンも破綻するわ。あのですね、あまりこういうこと言いたかないですけどこんなんで刺激的とかいってるんなら、エポック社の野球盤に透明の屋根がついてドーム球場が出た!って時のほうがなんぼか刺激的ですよ。ありゃあ興奮したもん。

とにかく、こんなクソじゃあとてもじゃないけど発火には至らないと判断。早速メントスを改良します。それも身近な品物を使って改良します。

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これがなんだか分かりますか。詳細を書くとマネするバカが出てきて当Numeriが有害サイト指定とかされちゃいますから書きませんが、非常に身近にある品物です。たぶん、今コレを読んでる人の半数くらいの人の半径1メートル以内に複数存在します。

これの中身が欲しいのでこれをノコギリで真っ二つに切断し、中身を取り出してXXXXXをXXXXXXXXXXします。XXXXXだと味気ないので、「中身を取り出してチョメチョメをチョメチョメします」と書き改めます。これで爆発力が向上したハイパーメントスは完成です。

次にコーラの方も改質するという意味でチョメチョメ(一般家庭の台所にあります)を少し入れます。

さて、それではどうなったか。

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うおおおお、見事に火が出たぞ、火が出た。火が出やがった。あまりの噴出力にハイパーメントスが噴出して外で火が出ちゃってるのが残念ですが、それでも身近な品物を使ってコーラで火を起こすことに成功した。

Q.patoさん質問です。コカコーラで火を起こすことはできるでしょうか?(愛知県メダカさん23歳)

A.起こせます。

ということで、また迷えるコーラ好きの魂を救済することに成功した、と意気揚々と返信メールを書き、件のコーラで発火している動画をつけて返答しましたところ、こんな返事が返ってきました。

すごいですね、まさかコーラで火が起こせるとは思いませんでした。大変驚いています。そこで本当に言いにくいのですが、最初に送った質問メールは間違いでした。「コカコーラで火を起こすことはできるでしょうか?」は間違いでした、正確には「コカコーラで胃を起こすことはできるでしょうか?」でした。最初のメールは誤字です。すいません。以前にpatoさんが寝起きにコーラを飲むと胃が起きて良いと言ってたのを思い出しての質問でした。本当に申し訳ありません。

Q.patoさん質問です。コカコーラで胃を起こすことはできるでしょうか?(愛知県メダカさん23歳)

A.起こせます。

こんな酷い仕打ちを受けてもコーラを飲んでいればノープロブレム。やはりコーラは万能な飲み物だ。

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