訪問販売

訪問販売

おしりかじり虫は元気のない人々のお尻を噛んで元気にする虫で、何かと元気のない日本に渇を入れるという大沢親分も真っ青のありがた迷惑な虫です。得体の知れない虫に尻を噛み付かれて平然としていられるわけなく、元気になって感謝するなんて持ってのほか、怒りに打ち震えてその虫を殺しかねない。余計なお世話だって殺虫剤を散布するかもしれない。

そもそもお尻を噛まれて元気になるってのがナンセンスで夢物語、同じ元気になるのならクリトリスでも噛んだ方がまだ元気になるってもんだ。寂しい女性のクリトリスを噛んで元気にするクリトリスかじり虫。こっちのほうが何倍も許せる。

「クリトリスかじり虫ー」

と誰も見ていないと思って職場の休憩室で身振り手振りで唄っていたら、その光景を同僚の山本さん(24歳OL、控えめな性格なのであまり目立たないが隠れ美人)に見られてしまい、もうどうしていいか分からない絶妙な空気が二人の間を流れた。

重苦しい沈黙、この休憩室だけ重力が2倍になったかのように感じる。その沈黙に耐え切れなくなった僕は、もうひっこみがつかなくなったということもあり続けてクリトリスかじり虫の歌を唄い続けた。まるで不治の病に侵されて大切なアノ人に届けるものがなにもない、自分の歌しかない薄幸の美少女のように。ただあの人に安らいで欲しい、少女は力の限り唄った。

職場の同僚がいきなり狂ったかのようにクリトリスとか言っている、いや唄っている。どうしていいのか分からないのは山本さんも同じのようで、しかも彼女は「やだー!」とか「それってセクハラ!めっ!」ってやるような砕けた性格ではなく、どちらかといえば内に秘めて悶々と恨むような性格なので、ただただ黙って気が狂うてしまった同僚を見つめていた。

微動だにしない山本さんに、拳を振り上げてクリトリスかじり虫を唄う僕、ここに他の同僚が来たらなんだと思うくらい衝撃的にシュールな光景なのだけど、もうどちらも引き下がるわけにはいかない。先に自分のスタイルを崩した方が負けだ。

いよいよ根負けしたのは山本さんの方で、シドロモドロしながらも口を開いた。ここで「セクハラですよ!」と軽やかに言ってくれれば僕も「メンゴメンゴ、てへっ」とでも言って軽く自分で自分にゲンコツ、舌でも出していたずらに笑うことができるのだけど、山本さんの言葉はそんな想像とは全く異次元に存在する、驚愕するしかないものだった。

「だから女子社員全員から嫌われるんですよ」

あのですね、世の中には言って良いことと悪いことがあるじゃないですか。間違いなくこれは言ってはいけないことですよ。そりゃね、僕だってそれくらいは薄々勘付いてますよ。なんとなくそうなんだろうなーって微妙に感じていましたよ。でもね、いくらなんでもそれを公然と指摘するってのは大人気ないと思うんですよ。ハゲな人にハゲって言うもんですよ。シャレにならない。

「そ、そうだよね……ギヒヒヒヒ」

もう引っ込みがつかなくなっちゃいましてね、それでもクリトリスかじり虫の歌を唄い続ける僕。これはもうテロですよ、テロ。そうこうしていたら山本さんがマジになっちゃいまして、

「どうしてそんなことばかりするんですか!ワタシ、patoさんがそうやって悪口言われたり除け者にされて飲み会に誘われないのとか見てられない。どうして仲良くしようとしないんですか!」

とまあ、山本さんは真面目ですから目に涙を溜めて訴えてくるんですよ。本気と書いてマジと読むみたいな状態になって、そんなに本気になられても困るってもんですよ。それはそうと薄々勘付いていたけどやっぱり僕は飲み会に誘われないとかとんでもないことになっていたのか。知らなくてもいいマルトク情報をわざわざ教えてくれてありがとう、山本さん。

とにかく、突如現れた山本さんのピュア心に触れてしまい、クリトリスかじり虫とか歌っていた自分が汚らわしい存在に思えてきましてね、中学生の時にカッコイイ言葉を使ってみたい衝動に駆られて「汚らわしい!」と言おうとしたら「毛皮らしい」と言ってしまい、「は?何が毛皮なの?何の毛皮?温かいの?ねえ?ねえ?」などと真顔で1時間くらい問い詰められて陵辱されたことを思い出したほどでした。

世の中には「よけいなお世話」が蔓延しています。多くの場合が相手を思いやる故の余計なお世話であり、それ故によけいなお世話、と断罪するのが心苦しい。この山本さんの例にしたって泣くくらいの僕の身を案じているわけで、その心中を思うと「余計なお世話だ、クリトリスかじるぞ!」とは口が裂けても言えない。

けれどもね、これが全く知らない相手だったらどうしますか。全く知らず、しかも余計なお世話なんですけどその裏に僕を騙してやろうというとんでもない邪な心を持っている相手だったらどうしますか。

あれは何もすることがない日曜日のことでした。あまりにも暇だった僕はパソコンに向かいフリーセルに没頭、ゲームを開始して「Ctrl」と「Shift」と「F10」を押して「中止」をセ選択、カードを1枚動かすと一瞬で勝利を収めることが出来るのですが、それを何度も繰り返して一人でケタケタ笑ってました。

ピンポーン!

不意に鳴るインターホン。休日の午後になるインターホンなんて恐ろしいくらいに予定調和で、明らかに何か悪意が在る来訪者、具体的に言えば訪問販売や宗教勧誘、家賃の督促など、隙あらば取って食ってやろうと企む邪悪な存在しかありえないのです。「きちゃった」とか言ってカワイイ、具体的に言うと白いコートが似合う女の子が肉じゃがもって来たりしないんですよ。

めんどくせーなーと思いつつ、それでも暇すぎるのでパンツ一丁でドア開けるのですが、そこには何か小汚い作業服を着た男が。けれども顔は色男で爽やか好青年、僕がゲイだったらほっとかないタイプの青年が立っておりました。

「こんにちは!今日はこのアパートの管理会社からの依頼を受けて水道の水質調査に参りました。無料ですのでお時間よろしいですか?」

はて、ウチのアパートの管理会社は親切に水質調査してくれるような慈悲深い人達だったか。家賃払えないなら実家に連絡します、契約を解除します、鍵を変えます、出て行ってください、パンツ姿で通路を歩かないでください、冷酷な鬼であるという印象しかない。

まあ、これは歴然とした詐欺で、水質調査して適当な薬品なんか混ぜてね、見る見る色が変わる水道水、この水は汚れている、見てくださいこんなの飲んでたら死にますよ、とか言いながら高価な浄水器を売りつける類の悪徳商法です。目の前で水道水が真っ赤に変わるのを見た主婦なんかは不安になっちゃってね、家族のために良かれと思って購入しちゃうわけなんですよ。

こういった詐欺師は絶対に家に入れない、「検査なんていりません」と毅然と断わりましょう。しつこく「検査してないのはお宅だけですよ」とか粘るかもしれませんが、場合によってはおしりをかじったら検査させてやるとペロンと尻でも出して追い返しましょう。

まあ、お尻見せないまでもここで身分証を見せてくださいとか、管理会社が水質調査を委託をしたのか確認しますのでそれからお願いしますとか毅然と断わることもできるのですが、まあ暇ですし、ここはどんな詐欺っぷりが見られるかお手並み拝見といこうじゃないですか。少なくともフリーセルやってるよりは面白そうだ。

「どうぞどうぞ」

笑顔で招き入れると、青年はいたずらな小僧のような満面の笑みで入ってきた。僕がゲイだったら食ってるところだ。それにしても爽やかで一片の毛皮らしさもない無垢な青年だ。こんな良さそうな青年が浄水器詐欺か、一体何があったのだろう。

僕は詐欺をする人間を認めません。どんな理由があるにしろ、止むに止まれぬ事情があったにせよ、そこで誰かを騙してご飯を食べていくという道を選択した人間を絶対に認めません。人間として最底辺だと思っています。この青年だって爽やかな笑顔の下は醜い笑顔で満ち溢れているに違いありません。

「で、どうするんですか?」

「はい、水質検査をしますので台所をお借りしてもよろしいでしょうか?」

「どうぞどうぞ」

なにやら黒いカバンを開けてガチャガチャと準備を始める青年、その光景を見守っていたのですが、いざ準備が出来て台所の流し台を見た青年が絶句ですよ。おもいっきりゴミダメですからね。なぜか流し台に乾電池とか捨ててある大暴挙、これにはさすがの青年も絶句していたね。

なにやら異臭とかする流し台におそるおそる近づいて水道水を採取する青年。で、なんかガチャガチャと機械使ったり怪しげな正体不明の薬品を入れたりとしてるわけなんですよ。で、得意気な顔でこっちにやってきてですね、

「見てください、この水が赤色に変わったら危険サインです」

とか言うんです。で、見てると徐々に徐々に水の色が赤に変わっていくんですよ。ワオ!

「これは発癌性物質が含まれてますね。このアパート全体がそうでしたから貯水タンクの関係だと思いますが……」

そんな!この水飲んでたら僕ガンになっちゃうの!?死んじゃうの!?そんなのやだよ!速く浄水器つけてよ!いくらでも払うから!と思うはずもなく、こりゃとんでもねーなーと思うことしかできませんでした。

発癌性物質ってなんて名前ですか?構造式はどうなってますか?その物質が何と反応すると赤くなるんですか?そのメカニズムは?とか色々と質問することもできますし、何か薬品を入れて水が赤くなるなんてチャチな手品レベルだぜ、俺なら薬品入れた瞬間に大爆発するような水を作ってやる、と豪語することも出来るのですが、ここはまあ、面白くないので真剣に聞き入ることにします。

「な、なんてことだ……まさかこんな……」

僕も結構な演技派ですから凄い深刻な表情でマジマジと紅に染まった水を見つめます。もう不安で不安でどうしようもないといった表情をします。

「実は今ちょうど浄水器を持ってきていまして……」

どうせ全部シナリオどおりなんでしょうけど、さも偶然良い物を持っていたみたいな顔してちゃちな箱みたいな浄水器とパンフレットを取り出すわけなんですよ。

「今ならお安くしておきますし、すぐに取り付けできますよ。工事費もサービスしておきます」

もう売ったった!みたいな何か一つの仕事をやり遂げたみたいな顔している青年。さらに畳み掛けてきます。

「流しを見ると荒んだ生活を送ってるようですね……荒んだ生活に汚れた水、これじゃあ早死にしますよ……」

これぞまさに余計なお世話と言わんばかりの状態でしてね、冒頭の山本さんのように僕を思いやる故のお世話ならいいんですけど、見ず知らずの人間の余計なお世話、しかも騙そうとしてる人間ですからね、そりゃ温厚な僕でも「余計なお世話だ」って言いたくなりますよ。

しかしまあ、ここはグッと堪えて

「ちなみにいくらなんですか?」

と訊ねると、青年は万面の笑みで

「26万円です!」

とか言うじゃないですか。お前、26万がどういう額のお金なのか分かってんのか。

あのですね、言いたかないですけど、それなりに大きな金額なんですよ、26万円って。今僕のアパートの家賃が3万6千円なんですけど、ざっと考えて家賃7.2か月分ですよ。半年までならなんとか督促から逃げることも出来ますけど、7ヶ月ともなると深刻です。いつ鍵を変えられるか、いつ追い出されるか、そうなったら中の荷物はどうなってしまうんだろう、法律的に追い詰められたらどうしよう、という心臓に悪いハラハラドキドキを7ヶ月、それを経てやっと滞納できる金額、それが26万なんですよ、彼はその金額の重みが全く分かってない。

「いやー、浄水器に26万円はちょっと……」

と買いたいんだけどお金がない風味をムンムンと醸し出すと、

「大丈夫ですよ、ローンもできますし。月々1万5千円の24回払いです!」

と準備万端、いつでもいけるぜ!って感じで契約書みたいなのをペラペラ出してくるんですよ。1万5千の24回払いって微妙に金利がえらいことになってるなって思うんですが、彼は悪びれるでもなく、恐縮するでもなく、

「月1万5千円くらいならタバコを我慢すればすぐですよ。タバコお吸いになるんでしょ?健康に悪いからやめたほうがいいですよ」

と、まさに余計なお世話というしかないこと言いやがるんですよ。でまあ、ここからは契約するまで帰らない、もう箱から出しちゃったんで設置するしかない、契約書書いてください、と非常に面倒なことになる、まさに悪徳商法の教科書みたいな展開が待っており、あまり面白味がないのですが、ここからが凄かった。

「この値段で帰るなんてもうないですよ、これはチャンスです。ぜひ美味しい水を!」

「でも水道水ってあんま飲まないし……別に水が汚くてもいいよ」

と僕が核心に迫った時、異変が起こったのです。

ピンポーン!

またもや玄関のインターホンが鳴ります。またもや来客です。大抵こういう場合は、離れた場所に控えていた詐欺仲間がやってきていて、その仲間を交えてツインカムで責められることになるのです。で、まあ、このお仲間ってのがとてもカタギには見えないとんでもない強面だったりするんですよ。

いよいよご本尊登場か、どんな凶悪顔がどんな脅しを駆使してくるか、こんな爽やか兄ちゃんの詐欺じゃ生ぬるいんだよ、とワクワクしながらドアを開けると、そこには綺麗な女性が立っていました。キリッとしたスーツ姿にまとめた黒髪がなんとも凛々しくてですね、おお、コワモテの仲間じゃなくて女とは珍しい!とマジマジと見つめていると

「お時間よろしいでしょうか?じつはこちらアパートの管理会社様のご依頼で水道水の水質調査に」

ってさっきの兄ちゃんと同じこと言うんですよ。

「ああ、それならもう来てますよ、同じ会社の人ですか?」

と、ああ、仲間ねという手馴れた感じの対応をすると、

「え!?」

とお姉さんは困惑顔。

「ですから、水質調査して水が赤くなって26万円の浄水器をローンでもいいからって売りつけるんですよね?余計お世話な感じで」

と、僕も、もう分かってるよって感じで洗いざらいぶちまけるんですけど、お姉さんは要領を得ない様子。

「良く分かりませんが、水質調査を……」

「先客がいるけど構わないならどうぞ」

「ええ、失礼します」

とにかく良く分かりませんが、お姉さんを部屋に招き入れます。で、爽やか兄ちゃんとお姉ちゃんの話を色々と聞いて、名刺とかもらって判断したんですけど、どうやら全く別の詐欺会社がたまたまウチをターゲットに選んでかち合ってしまった様子。2つの詐欺が同時に我が家を急襲、こりゃあ盆と正月がいっぺんに来て、ついでにこの間痴漢で捕まって会社をクビになったらしい神奈川のおじさんがまで金を無心にやってきたみたいな状態ですよ。あの人結構ろくでもないんだよな。

で、2つの詐欺人どもはお互いにお互いの存在を認識していたっぽいんですけどかち合うのは始めてみたいで、なんか当人達が一番驚いてました。

まあ、ここで、あれれー、おかしいよ!どうしたのコナン君!だって、アパートの管理会社が依頼したのに2社が調査に来るって絶対におかしいよ!バーローって感じにもできるんですが、まあ、それを言ったら野暮なので一応黙っておきます。

「では調査させてもらってよろしいでしょうか」

僕も青年も「さっきやったよ、赤くなるんでしょ」って顔してたんですが、まあ、言っても無駄なので好きなようにやってもらいます。

それにしてもこんな綺麗なお姉さんが詐欺をやってるなんて信じられない。見ると結構おっぱいもでかくて性格も良さそう、清楚な感じなのに。きっと何か理由があるに違いない。たぶん、病気のお父さんか何かがいて、日本では未承認の薬が必要になる。それは高額でとても二十代の小娘が買えるようなものではなかった。悩みぬいた彼女はインターネットで知り合ったスナフキンという男に相談をします。こいつがまた悪い男でしてね、彼女は騙されて逆に多額の借金を背負わされることになるんです。で、嫌々ながらスナフキンが経営するこの詐欺グループで働くことになったんですが、そこのセクハラ部長に体の関係を強要されて……冗談じゃない、こんなことあってたまるか!僕が彼女を救ってやる!って妄想を書き始めると異常に長くなり、脱線するにもほどがあるって感じなので続きはこちらで楽しんでいただくとして本題に戻ります。

「ほら、赤くなりました」

「な、なんてことだ!」

とまるで台本のあるコントのようなセリフを交わしていよいよ商談です。やっぱりお姉さんも、青年とは違ったタイプの浄水器を持っていて、これが29万円だって言うんですからたいしたものですよ。青年より3万円も高い。29万円って家賃8ヶ月分超えますからね。

でまあ、どちらも電気屋いけば1万円くらいで買えそうな浄水器で、それを高値で売ろう、不安を煽って売ろうって言うんですからタチの悪い詐欺なんですけど、そこで僕はこうすることにしたんです。

「でもさあ、さすがに2つも浄水器はいらないよね。どちらか一方を買うよ」

さあ、これに火がついたお二人、火のようなセールストークが始まります。

「我が社の製品の方が性能が上ですから!」

「たしかにこちらの方が値段は高いですがその分高性能ですよ」

爽やか青年と綺麗なお姉さん、美男美女が必死にセールストーク、それを見ていた僕もドラマの6話くらいから急に出てこなくなる脇役みたいな感じで「もうお前ら付き合っちまえよ」みたいなこと言おうと思ったのですが、それこそ当人達には「余計なお世話」と言われるでしょう。

で、必死になる二人ってのを見て楽しんでるってのもあまり趣味がよろしくありませんですし、どうせどちらかを選んでも選ばれなかった方が契約するまで帰らないといった意固地な姿勢を見せるに決まってる、お姉さんのほうが帰らない!って言い出したら喜ばしい限りなんですが、とにかく、相手は騙して契約させるプロです、いくら抵抗したってムダですから、その際は普通に契約してあげましょう。

「じゃあ両方買います」

その瞬間、二人が「えっ?」って顔したのを見逃さなかったね。そりゃそうだ、浄水器を二つも買ってもしょうがない。買う人はいるかもしれないけど、二つ合わせて55万円ですよ。まあ、それでも比較的面倒なのでここは素直に買ってあげましょう。

「もう面倒なんで二つ直列に繋いでつけておいてください」

とだけ指示して僕は契約書にサイン、なんか美男美女の二人は仲睦まじく二人で設置作業してました。

見ると、とんでもなく無理矢理つけたみたいな浄水器がゴテンゴテンとついていて水道周りが合体ロボみたいになってるんですが、ツインカムで処理したのに出てきた水は、まあ美味いとは思えず、普通に水道水でした。

満面の笑みで「これで水が美味しくなりました!」と二人を送り出し、まあ、美男美女ですから意気投合した二人はこの後飲みに行ったりして「あの客バカだったね」とか会話してセックスと相成るのでしょうが、僕は僕で忙しい。この契約をなかったことにしないといけない。

とにかくこういった訪問販売っていうのは一度セールスを開始するとなかなか諦めません。ですから僕もとっとと諦めてツインカムで浄水器をつけてもらい、合計55万円の契約を結んだのですが、そんなもの払ってられないので思いっきりクーリングオフしましょう。

クーリングオフとは訪問販売やキャッチセールにおいて、契約したものは8日以内なら無条件で解約できるといった大変便利な法律なのですが、きちんと文書に「契約を解除する」「浄水器はいらんから引取りに来てくれ」と明記して会社所在地に送付してあげましょう。

こういった訪問販売ってのは違法で、特定商取引法の第六条で規定されているように販売目的を告げずに勧誘することを禁止しています。つまり、水質調査といって家に上がりこんで浄水器を売るってのはそれだけで違法行為、きちんと法律でもそんなものはダメだよって規定されてるものなんです。

このクーリングオフは業者側が妨害することもできませんので、数日したらちゃんと業者が浄水器を引き取りにきます。また綺麗なお姉ちゃんに会えるかなって期待してたら小汚いオッサンが取り外しに来ました。もう一社の方はあの爽やか青年が死んだ魚のような目をして引き取りに来たのですが、その際に

「大丈夫ですか?水質調査と偽って浄水器を売るのは特定商取引法第六条違反ですよ。それにこういう訪問販売ってガンガンとクーリングオフされますよね、皆がつけてもらってクーリングオフしたら儲からない、手間賃ばっかりかかるんじゃないですか?」

と心配して言ったら、青年はすごい元気ない様子で「余計なお世話です」って言ってました。そりゃそうだ。ごもっとも。とにかくあまりに元気なかったのでおしりをかじって元気にしてあげたい、そう思ったのでした。

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