ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

さてさて、いよいよ公開が近づいてきた「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」ですが、毎度のことながら公開が近づくと一部の方の間である期待が高まってくるかと思われます。

ハリーポッター見てもないのにレビュー

ハリーポッターを全く見たことない僕が、勝手にあらすじ紹介、レビューなどをやってしまうこの企画です。毎度毎度、新作の公開に合わせて「賢者の石」「秘密の部屋」「アズカバンの囚人」「炎のゴブレット」とやってまいりました。特に前回の「炎のゴブレット」の反響は凄まじく

「面白かったです!」

と、諸手を挙げて絶賛してくれた方が約2名。

「つまらない、死ね」

と、忌憚のない意見を下さった方が約10名。

「もうこのシリーズやめてください」

と、何か重い十字架を背負ってるような方が約3名。

「ハリーポッターをバカにしてるんですか?」

と、お怒りのハリポタファンが約4名。

「ハーマイオニーたんのアナル舐めたい!」

と、頭が狂ってらっしゃる方が約1名。

とまあ、合計20通もの大反響の嵐!あまりの反響に僕のメールボックスがパンクするかと思いました。

そんなこんなで、2名の方が面白いといってくださる、回を重ねるごとにその数も減っていますが、そう言ってくれるなら書かねばしょうがない、ということで今回の「不死鳥の騎士団」もやってしまいます。

あまり詳細にやると、ネタバレになる!と配給会社に怒られるかもしれないので、ほんと、ちょっと触り程度にしたいと思いますが。ということで、2名の方はお楽しみください!それではどうぞ!

見てもないのに映画レビュー5
ハリー&ポッターと不死鳥の騎士団


灰色の地下室、剥き出しの配管、その継ぎ目からポタポタと水が滴り落ちる。その滴が落ちる先の排水溝からは時折蒸気が噴出する。おどろおどろしい音楽と共に落書きだらけの壁に映った二つの影が動く。

「いや!やめて!」

「ヒッヒッヒッ!大人しくしろ!」

「ああ、どうして…ママ…パパ…たすけて…」

「さあ、はじめよう!フェニックス騎士団の名の下に!」

「やめて!命だけは助けてオマイガお願い!」

大きな影が女性の影に襲い掛かる。それと同時に女性の断末魔の悲鳴が響き渡り、影から血が噴出する。その後ドロドロと画面が赤く染まり、ドデーンと安っぽいフォントで「ハリー&ポッターと不死鳥の騎士団」とタイトル。この辺のB級テイスト満載な雰囲気がこのシリーズの魅力だ。

場面は変わり、ニューヨークのハンバーガーショップが映される。太っちょのコック帽をかぶった男がぶっきらぼうに肉を刻む。これが後に起こる残虐事件への微妙な複線だと気がついたのは僕だけじゃないはずだ。このシーンでは日常的なハンバーガーショップの風景を描きながら、ちょっと凝った字幕でキャストの紹介が行われる。

カランカラン!

キャスト紹介が終わるとけたたましくドアが開き、そこにポッターが駆け込んでくる。

「マスター!いつもの!」

カウンター越しに声をかけるが、小太りなマスターはきょとんとした表情だ。

「悪い、悪い、そういえば息子さんに変わったんだったな。テリヤキバーガー2つ、マスタードたっぷりで!」

「まいど!」

ついつい15年前の癖が出てしまう。15年前、まだ学生だったハリーとポッターはニューヨークにいた。そして、学校が終わるといつもこのバーガー屋に立ち寄って、時にはテスト勉強をしたり、時には熱い法律論を議論したり、そして恋の相談もしたものだった。

「この店もかわらねえなあ」

注文を済ませたポッターは店内をキョロキョロと見渡す。店内には沢山の客がおり、みな思い思いに会話している。大学生だろうか、ノートを広げて熱く議論している。若者のカップルも映画でも見たのだろう、満足気に感想を言い合っている。女同士の客は、ダウンタウンにある奇妙な占い師の話で持ちきりだ。

「ここだ、ポッター」

店の奥にはハリーが腰掛け、学生時代のあの時のようにお米バーガーをほおばっていた。

「しかし懐かしいな、15年ぶりだもんな」

「ああ」

「こうやってお互い、サンフランシスコ市警からニューヨーク市警に移動できてよかったな」

「ああ」

「やっぱさ、シスコに比べて事件が多くて嫌になるよな、忙しいっていうか」

「ああ」

ポッターが何を話しかけてもハリーはそっけない返事。一瞬、ポッターが不快感を顕にするが、すぐに吹き出すように笑った。

「やっぱり変わらないな!俺たち!」

その光景は15年前のあの日のままだった。

シーンが回想に切り替わり、1992年と字幕に表示される。町を歩く人のファッションも心なしか少し古い。大雨の中、同じハンバーガー屋が映し出される。

「どうして…」

テーブルに座る美女が涙を流している。

「どうしてもだ」

その対面に座っているのは若かりし頃のハリー。黙々とお米バーガーを食べている。

「どうしてもサンフランシスコに行ってしまうの?」

「ああ」

「私を置いて?結婚しようって言ったじゃない!」

「すまない、ミッシェル…」

流れ落ちる涙をナプキンで拭いたミッシェルは指輪を外すと大雨の中店を飛び出していってしまった。

「ミッシェル!」

席を立ち上がるだけで追わないハリー、それを見た先代のマスターがハリーに話しかける。

「追わないのかい?」

「いいんです…俺には…彼女を幸せになんてできない…」

呆然と立ち尽くすハリーの前にお米バーガー差し出される。

「マスター…」

「奢りだよ」

そこにけたたましい音を立ててポッターが入ってくる。

「マスター、いつもの!」

テリヤキバーガー2つと大量のマスタードを持った若きポッターがハリーに近寄る。

「で、ミッシェルちゃんとは別れたのかい?」

「ああ」

「もったいないぜ、あんないい娘」

「ああ」

「でも、彼女の親父さんが刑事と結婚するの反対してるっていうんじゃな」

「ああ」

「俺たち、やっと念願の刑事になれたわけだし。春からサンフランシスコで刑事だぜ!ワクワクするよな!」

「ああ」

ハリーはミッシェルが残した指輪を握り締めていた。

またシーンが変わり、現代のハンバーガー屋を映し出す。ポッターが口の周りに沢山のマスタードをつけながら話し始める。

「そういえば、ミッシェル、結婚するらしいぜ…」

「…」

ハリーは返事をしない。ポッターは構わず続ける。

「昨日、偶然吉田に会ってさ、ほら、クラスメイトだった。あの土建屋の次男坊。で、何でもマンハッタンにいくつもビル持ってる大変な資産家と結婚するらしいってさ。玉の輿ってやつだよな」

「そうか…」

「やっぱいい娘だったもんなあ、やっぱり未練とかあったんだろ?」

ポッターがマスタードをグチャグチャ飛ばしながらぶっきらぼうに言う。

「いや、未練はないよ。俺たちはあの日終わったんだ」

「またまたあ、未練たらしく別れた後も彼女のこと追いかけていたくせに!」

「はあ?」

話がかみ合わない。ハリーはあの日、彼女と別れた後はバーに行って浴びるように酒を飲んだ。そして次の日にはサンフランシスコへと旅立った。彼女を追いかけたことなど一度たりともないのだ。ポッターの勘違いを訂正しようと、食べかけのお米バーガーをテーブルに置いたその瞬間だった。

ピリリリリリリリ

携帯電話が鳴る。急いで出る。

「はい、ハリーです」

「お楽しみのところを悪いがダウンタウンで殺人事件発生だ、現場に急行してくれ!」

「了解しました!」

電話を切る。

「なんだ、事件か?」

「ああ、殺しだ、いくぞポッター」

パトカーに飛び乗るハリー&ポッター。渋滞をすり抜け高層ビル群の中をひた走る。マンハッタンの青空は呆れるほど綺麗だった。

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「ひどい殺し方するねえ」

死体を前にしてポッターは楽しそうに笑った。鑑識がパシャパシャと写真を撮影する横でハリーは青い顔をしていた。事件好き死体好きのポッターとは逆で、ハリーは死体を見れないのだ。

「おい、ハリー見てみろよ」

「俺が死体を見れないのは知ってるだろ」

「いいから!」

恐る恐る布をめくり死体を見る。被害者は20代の女性、眩いブロンドが赤い血で染まっていた。青い目を見開き、このままポロッと取れそうなくらい首が切られていた。おそらく即死だっただろう。しかし、それ以上に異様だったのが、死体の胸元に刻まれた傷だった。おそらく、鋭利な刃物で刻まれたのだろう、胸元には文字が書かれていた。

-フェニックスは何度でも蘇る-

「こいつは…いったいどういうことだ?」

「普通に考えて犯人からのメッセージだろうねえ」

死体に刻まれた謎のメッセージを覗き込むハリーとポッターの二人。そこにもう一人の刑事が加わった。

「こいつは不死鳥の騎士団の仕業だな」

ベレー帽がトレードマークの初老の刑事、ヤマさんだった。

「ヤマさん、不死鳥の騎士団とは一体?」

ハリーが詰め寄る。ヤマさんはクシャクシャになったマルボロを咥えながら答えた。

「なあに、古い話でよ。もう15年前になるかな。同じように首を切り裂いて女を殺す事件が連続してな、摩天楼を震え上がらせたのさ。俺が事件の担当だった。犯人は殺害現場か拉致現場に「不死鳥の騎士団」と書かれた紙を残していたんだ。結局、犯人は捕まらず仕舞いだったがな。忘れられやしねえ」

ヤマさんは死体に刻まれた傷跡見て続ける。

「当時は全ての死体に「不死鳥の騎士団の名の下に」と刻まれていた。それから犯人を不死鳥の騎士団と名づけ市警は必死で追ったよ。しかし驚くほど証拠が挙がらない。目撃情報も、赤い布をかぶった不審な男を見たってヤツだけだ」

「赤い布…」

「ハリー、ポッター、ワシももうすぐで定年だ。退職時に貰う金時計だけを楽しみに生きてる老いぼれだよ、でもな、この不死鳥の騎士団だけは絶対に許せねえ、なんとしてもこの手で捕まえたい。定年までにな!」

ヤマさんはベレー帽を深々とかぶりなおした。

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「とりあえず周辺の聞き込みだな。人の記憶は薄れ行くもの、スピードが命だ」

ヤマさんはベテランらしい機敏さでテキパキと指示をする。ハリーとポッター、それにヤマさんはそれぞれ周辺ビルを訪ねて目撃者を探すことになった。

「汚いビルだな」

ほとんど管理されていないのだろう、汚く、あちこちがひび割れし、おまけに変な匂いまでしてくるビルの入り口にハリーは立っていた。今にも崩れそうな階段を上る。木が腐っていやしないかとビクビクものだ。

2階に到着すると、廊下に並ぶこれまた古いドアを片っ端からノックしていく。しかし反応はない。単純にほとんどが空き家なのだろう。廊下に堆積した埃の量がそれを物語っている。

4階へと向かうハリー、このビルは変わった構造になっていて4階へはビル内の階段ではなく外の非常階段を通らねばならない。非常階段を上ると風に吹かれてニュヨークタイムスが飛んできた。日付は2007年7月7日、今日の日付だ。またブッシュ大統領の支持率が下がったニュースが1面だ。

4階には部屋が一つしかなかった。ハリーはその重厚なドアをノックし開ける。そこには怪しげな老婆がいた。

「殺人事件があった。目撃者を探している」

ハリーの聞き込みにも老婆は要領を得ない。水晶に向かって何やらブツブツ言っているだけだった。

「占い師ってのは何も未来を見るのが仕事じゃないんだよ。その人が抱えている過去の後悔、それを解決してやるだけさね」

「婆さん、占い師なのか」

ハリーは占い師とかそういった非科学的なものが大嫌いだ。魔法だとか超能力だとか、そんなもの全てまやかしだと思っている。訝しげに老婆を睨みつけるハリー。それでも老婆は続けた。

「アナタは何か大きな後悔を抱えている、それを解決しないと…そしてアナタは解決したがっている」

「バカいうな、奥も調べさせてもらうぞ」

老婆の言葉に耳を貸さず部屋の奥へと進むハリー。突き当たりにある奇妙なドアを一瞥し、ドアノブに手をかけた。

あまり詳しく書くとネタバレになってしまい、これから鑑賞する人に怒られてしまいますので詳しく書きませんが、部屋の中には中南米の方の儀式で使いそうな怪しげな人形が山ほど置いてありました。

いきなり部屋のドアを閉められ、部屋の中が暗闇に包まれます。銃を構えたハリーは「誰だ!」と叫びながら部屋の中央へ。するとどこからともなく祭囃子が聞こえてきます。その祭囃子に合わせるように周囲の景色が歪み、ハリーは頭を抱えて苦悶します。ここで駆使されるCGは必見。祭囃子は次第に大きくなり、ついにハリーは気を失ってしまいます。

どれくらい時間が経っただろうか。ハリーは部屋の中央で目を覚まします。あれだけあった奇妙な人形も見当たらず、ただ何もない空間が広がっていました。

「何が起こったんだ?」

フラフラになりながら部屋を出るハリー。すると、信じられないことに先ほど占い師の老婆がいた部屋すら何もなく、ガランとした空き家のような空間が広がっていました。

「一体コレは…」

夢でも見ていたのだろうか、半信半疑になりながら部屋の外に出て。下の階へと通じる非常階段へと出ます。心なしかビル全体が綺麗になっている気がするが、そんなことハリーは気づかない。非常階段には先ほどの「ブッシュ大統領の支持率がまた下がった」というニューヨークタイムスが転がっており、ハリーはやっぱり同じビルだと安心して階下へと降りていくのだった。

ここで風に煽られた新聞紙がバサッと飛んでアップになる。よく読むと、支持率が下がったのは現在のジョージ・W・ブッシュではなく、2代前の大統領ジョージ・H・W・ブッシュだった。この辺が現在のブッシュ大統領不人気を揶揄するアメリカンジョークになっていて、劇場の白人たちから失笑が漏れてました。

フラフラと街を歩くハリー、とりあえずポッターと連絡を取ろうと携帯電話を手にするが繋がらない。

「どうなってやがるんだ!」

憤慨してると道行く黒人少年にぶつかった。少年はその圧倒的無邪気さでハリーに話しかける。

「ねえねえ、ピザって10回言ってみて」

「ピザピザピザ…」

「じゃあここは?」

「ヒザ」

「ぶー!ヒジでした!」

なんてことだろう。10回クイズが流行してやがる。本当にここは現代なのか?こんなの十数年前に流行ったものだぞ。

「ヘイボーイ、今は何年だい?」

「オッサン何いってんの、今は1992年さ!」

「なんだってー!」

振り返ると、二棟のWTCビルが威風堂々と夜のマンハッタンに映えている。

「15年前にきちまったのかーーー!」

叫ぶハリー、それと同時にカメラが引いていってマンハッタンの夜景を映し出していた。

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「なんてことだ、俺は15年前の世界に来てしまったのか?一体どうして?ホワイ」

大雨の中を傘も差さずに歩くハリー。取り乱すハリーの前に、例のハンバーガ屋が見えた。もちろん、15年前なので心なしか店構えも綺麗だ。

「まさか…!」

あわてて窓越しに店内を伺う。なんてことだろう、そこにはあの日の、15年前のハリーとミッシェルの姿があった。そして、別れ話をしてるのだろう、ミッシェルが流れ落ちる涙をナプキンで拭いている。しばらくすると席を立って大雨の中、店の外へ走り出してしまった。

ハリーの横を駆け抜けるミッシェル、ハリーは慌てて顔を隠す。窓越しに昔の自分を見ながら、あの怪しい占い老婆の言葉がフラッシュバックした。

「アナタは何か大きな後悔を抱えている、それを解決しないと…そしてアナタは解決したがっている」

これが、俺の持つ過去の後悔…?俺はずっとこの日のことが心にひっかかっているのか?酷い別れ方をしたミッシェルに謝りたい、そういうことなのだろうか…。

意を決してミッシェルの後を追おうとするハリー。しかし、若い頃のポッターが大雨の中、パシャパシャと音を立てながら走ってくる。また慌てて顔を隠すハリー。こんなところで鉢合わせしては大変だ。ポッターは不自然なポーズで顔を隠すハリーの横を駆け抜け、ハンバーガーショップへと入っていった。やはりあの日のままだ。

とにかく、ミッシェルの後を追うことにしたハリー、雨の中、ずぶ濡れになりながら泣いているミッシェルの後を尾行した。

でまあ、ここからはタイムスリップ特有のドタバタ劇というか、ショットバーで泣いているミッシェルに話しかけようとすると、ハンバーガー屋を出た若い頃のポッターが偶然居たりしてね、結構楽しめます。

「あれ、もう帰るって言ってなかったか?」

「ん、ああ、ちょっと酒でも飲みたい気分でね」

そして店内を見回してミッシェルの姿を見つけるポッター。

「ハハーン、ああは言ってたけど、やっぱり未練があってミッシェルを追いかけてきたんだな!このこの!ってか、お前、この数分の間にちょっと老けた?」

とか、ポッターのヤツ、当時のハリーと15年後のハリーの見分けがつかないポッターもどうかと思いますが、とにかく若い頃のポッターが邪魔。ハリーがミッシェルに話しかけようとすると何度も出てきてうざったいんですよ。もう殺したいくらい邪魔。

結局、ミッシェルが家に帰るまで話しかけることが出来ず、明かりの灯った彼女の部屋を路地から眺めるしかなかったハリー。

「ミッシェル…」

そこに異変が起こります。

ガシャーン、突如何かが割れる音、そしてミッシェルの悲鳴。ハリーは慌てて部屋に踏み込みます。そこにミッシェルの姿はなく、何者かに連れ去られたのでしょう、部屋が荒らされていました。そして、机の上には「不死鳥の騎士団」の文字。

「まさか!」

15年前の不死鳥の騎士団による連続婦女殺人事件、ミッシェルはその事件に巻き込まれていたのです。

「思い出せ、思い出せ、15年前のあの事件の時、殺害現場はどこだったか、思い出すんだ」

15年前はハリーは刑事ではありませんでした。しかし、事件のことは新聞報道で知っていました。必死で記憶を掘り起こします。

「あそこだ!」

15年前も殺害場所はダウンタウンにあるビルの地下室だった。早く行かねばミッシェルの命が危ない。急いでいかなければならない。しかし、そこでドアがノックされます。

コンコン

銃を構え、警戒しながらドアに近づき、ドアノブから覗きます。そこには15年前の自分の姿が。

そう、15年前のあの日、未練がないと言った自分は嘘で、本当は未練たっぷりに彼女の部屋まで訪ねていたのだ。

「ちくしょう!あの色ボケめ!」

とにかく、今ここで自分同士が鉢合わせるのはまずい。なんとかせねば。

「だれかね?」

声色を変えてドア越しに話しかけます。

「あ、ハリーと言います。お父さんですか?」

「ああそうだが、娘に何か用かね?」

「実は…娘さんとお話したくて…こんな時間に失礼なのは分かってます、でも…」

「娘はまだ帰っておらんよ」

「じゃあここで待たせてもらいます!何時間でも!」

「ふむ、君は誠実な青年だな」

「え?ありがとうございます」

「きっと将来優秀な刑事になるに違いない、頑張れよ」

「あ、はい」

怪訝な顔をする若いハリー。まあ、この辺がアメリカ映画的な笑い場所でしょうかね。

とにかく、ドアの前で若いハリーが待ってるので出て行くわけにも行かず、窓越しに抜け出すハリー。誰かに目撃されると面倒だという理由で、部屋にあった赤い布をかぶって現場に急行します。

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謎の地下室、ジェイソンの仮面をつけた男が縛り上げられているミッシェルに迫ります。

「どうして?お願い!助けて!」

「フハハハハ、若い娘の血が必要なのだよ!フェニックスの力を借りてワシの娘を蘇らせるためにな!」

「狂ってる!狂ってるわ!」

「なんとでもいえ!今日は15年に一度のチャンスなのだ。太陽の黒点周期が満ちる今日、不死鳥が蘇る!その力を借りてワシの娘も!」

鋭利な刃物がミッシェルの喉下に迫ります。

「ああ、ハリー…助けて…」

「クククククク」

いよいよダメかと思った時、地下室のドアが蹴破られます。

「そこまでだ!」

そこには赤い布をかぶったハリーが。

「何者だ!貴様!」

ジェイソン面をかぶった犯人が身構えます。

「あいにく、そこの女性は守らなきゃドアの前で待ってるアイツに怒られちゃうもんでね」

「きさまあ!」

ここでお決まりの、ハリーと犯人のクンフー対決です。対決は凄まじく、いつの間にか部屋を飛び出して大雨の中での殴り合いに。そこでも決着がつかず、闘いのステージは建設中の工事現場へ。看板には教会ができるとかなんとか書いてありました。

「これは…?」

バシバシ!クンフーの応酬をしながらも、犯人の太刀筋にハリーは何かを感じます。

殴り合いの衝撃があまりにすごく、建設中の柱がアリスJAPANのオープニングみたいにガンガン倒れてきます。このシーンが凄まじく、あまりに過酷な撮影のためADが5名、メイクさんが2名死んだそうです。

決死の上段回し蹴りが犯人に炸裂、犯人は吹っ飛ばされて、尖った鉄骨が右足に刺さって動けなくなってしまいます。

ハリーは覆面をかぶったまま地下室に戻ると、ミッシェルの拘束を解いてあげます。

「ありがとう、あなたは誰?」

「通りすがりの者ですよ」

「お名前だけでも…」

「お嬢さん、今あなたは何かに悲しんでるかもしれない。でもきっと将来幸せになれるはずだ。ずっとずっとあなたの幸せを思っている人間がいることを忘れないで欲しい。ドアの前とかにね…」

「あなたは…?」

「早く逃げなさい。そして警察に保護してもらうんだ!」

何度も振り返りながら慌てて逃げ出すミッシェル。

「さあてあとは犯人の始末だ」

先ほどの建設現場に舞い戻るハリー。しかしそこに犯人の姿はありません。警戒するハリーの後頭部を木材が襲います。

「邪魔をしおって!邪魔をしおって!」

みるみると血だるまになっていくハリー。

「貴様、何が目的で…ゴフッ!」

「貴様のせいで復活の時が終わったではないか!次は15年後だ!みてろ!あの娘ごと復活の生贄にしてくれるわ!」

大きな重機に乗る犯人。重機のドリルが動けないハリーに迫ります。いよいよもうダメかと思ったその時、また周囲の景色が歪み、ハリーが身悶えます。そして眩いばかりの光が建設現場を包んだのでした。

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「気がついたかい?」

そこにはあの老婆の姿が。

「過去に決着はつけてきたかい?」

飛ぶように起き上がるハリー。

「ここは、2007年か?」

「ああ、そうだよ。その分だと後悔は解消してきたようだね」

老婆を押しのけてビルから飛び出すハリー。携帯電話でポッターに連絡を取ります。

「ポッターか!?」

「なんだよハリー、もう聞き込みは終わったのか?」

「そんなことはどうでもいい!それよりミッシェルの結婚式はどこでやってるんだ!」

「この近くのダウンタウンの教会だよ」

「急いでそこに行くぞ!」

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場面変わって教会。華やかな衣装に身を包んだ来賓たちが談笑している。

「本当におめでたいこって」

「しってます?この教会、15年前の建設中に何者かに壊されたんですって。工事はそつなく終わったけど、縁起が悪いって言われててね…」

「まあ」

カメラは花嫁の控え室を映します。

「綺麗だ、ミッシェル…」

「お母さんにそっくりよ、お父さんもきっと天国で喜んでるわ」

どこの馬の骨か分からない新郎にミッシェルの母、そして、花嫁姿のミッシェルがそこに。しかし、ミッシェルの顔はどこか浮かない。

そして、窓からそんなミッシェルを狙う怪しい影が。よくよく見るとそれはジェイソンの仮面をかぶった男だったのです。花婿と母親が控え室を出てミッシェル一人になったその瞬間、窓をぶち破って入ろうと犯人が鈍器を振るいます。その瞬間でした。

「そこまでだ」

そこにはハリーとポッターの姿が。

慌てて逃げようとする犯人の行く手をポッターが塞ぎます。

「そろそろやめにしましょう、ヤマさん…」

ハリーの言葉に驚いた犯人は、観念して仮面を取ります。そこには、ベテラン刑事ヤマさんの姿が。

「不思議でしたよ、なんで犯人が捕まらなかったのか。それは担当刑事のアナタが証拠や目撃情報を握りつぶしていたからなんですね。赤い布を男を見た、なんて間違った目撃情報だけを残して…」

「娘を、娘を蘇らせるためには、若い女の血が必要だったんだ…不死鳥を蘇らせるために…」

「15年前もそうやって女性を殺した。しかし、失敗に終わって復活の儀式はできなかった。そして、黒点周期が復活に適した状態になる今日、また犯行を行おうとした。15年前に殺害に失敗したミッシェルを狙ってね」

「娘のため、娘のためなんだ…邪魔をするなあああ!」

クンフーで襲い掛かるヤマさん。しかし、15年前と違い、体力の衰えを感じずにはいられません、おまけにヤマさんは15年前に鉄骨で貫かれた足が不自由です。あっという間にハリーにボコボコにされます。ポッターは邪魔でした。ヤマさんを抑えつけるハリー。そして促します。

「御覧なさい。あのミッシェルの幸せそうな顔を。アナタが娘のことを思うのと同じように、あの子を思ってる人も沢山いるんです」

花婿に迎えられ満面の笑みを見せるミッシェルの姿が見えます。

「誰かが誰かを思う気持ちは永遠です。決して消えることも死に絶えることもない。それこそが不死鳥、フェニックスじゃないですか?フェニックスはみんな心の中にいる、白人も黒人も関係ない!」

感動しました。

ヤマさんは警察に引き渡され、何事もなかったように結婚式が続けられます。幸せそうな新郎新婦に米を投げつけるハリーとポッター。そこにミッシェルが駆け寄ってきます。

「きてくれたのね!」

「ああ、どうしてもハリーがいこうってね!」

「ポッター、黙ってろ!」

「本当に!うれしい!」

そう言うとミッシェルは懐から赤い布を出し、ハリーの顔に巻いたのでした。そして小さな声で一言。

「15年前はありがと」

空缶が沢山ついたオープンカーに乗ってハネムーンへと出かける新郎新婦。ハリーがその後姿をジッと眺めているとポッターが駆け寄りお米バーガーを手渡してきます。

「これは…?」

「奢りだよ」

ハリーはニヤッと笑いながらお米バーガーにかじりつくのでした。

ハリー&ポッターと不死鳥の騎士団レビュー おわり
総合評価 ☆☆☆☆☆

次回のハリーポッターは、刑事課にやってきた謎の転校生に超能力。最強の刑事を決める天下一刑事武道会でハリーが見たものは!乞うご期待!

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