ボタン魔力

ボタン魔力

この間、どっかの掲示板に流れ着いた時に、都内在住の女子大生(自称あやや似)が自らのおっぱい画像をアップロードするとかしないとか、「わたしのおっぱい画像公開しちゃおうかな」みたいな宣言をしている南米のサンバみたいな現場に遭遇してしまいました。

掲示板は「はやくアップしろ」だとか「どうせ嘘に決まってる」だとか、猛る息子を握り締めた熱きサムライどもの罵声で賑わっていたのですが、そんな僕も「どうせおっぱいなんて見れるわけない」と少し冷ややかな対応でその様子を見守っていました。

そもそも、ネットで出会う旨い話には必ずその裏に罠という落とし穴がぽっかりと口をあけて待っているものです。例えば、ネットで出会ったすごいカワイイ女性に意気揚々と会いにいったら、死ぬほど高いイルカの絵を買わされそうになったり、血が穢れているとかいっちゃった目をした女に言われて熱烈に入信を勧められたり、物陰から出てきたギャングみたいな小僧にサラ金に手を出すまで金をむしられたり、かならず罠が待ち受けているものです。世の中って大体そうですが、ネットの世界は特にその傾向が顕著だと思います。

だいたい、普通にネットサーフィンをしていてそうそう簡単におっぱいが拝めてたまるものですが。おっぱいというものは尊く貴重で、かけがえのないものなんですよ。間違ってる間違ってる。

ネットでおっぱいを見るには、そういった専門のエロサイトに飛んでですね、下手したら勝手に入会させられて架空請求が来るかもしれないという危険をかいくぐり、ウィルスに感染するかもしれないという不安を拭い去り、よく入り口の分からない「ENTER」だとか「FREEXXX」だとかケバケバしく光る文字をすり抜けて初めて手にできるものなんですよ。そう、言うなれば銃弾をかいくぐった先にある楽園のようなものです。

そんな尊くて神々しいおっぱいが、気軽にアクセスした掲示板で簡単に見ることができるかもしれない。しかも素人のあやや似の女子大生。とどめとばかりにその後の書き込みでEカップと判明。Eカップって英検でいうと準2級に相当しますからね。それが気軽にアップされるかもしれないんですよ。鷲掴みにできるかもしれないんですよ。そんな旨い話があってたまるか、絶対に罠があるに決まってる。嘘に決まってる。

「ぜってー嘘だよ、こんなのありえない、こんな簡単におっぱい見れるはずがない」

一人職場のパソコンに向かってブツブツ言っている僕も怪しいものがあるのですが、完全にこのあやや似Eカップ女子大生の掲示を嘘と決め付け、完全に否定しながら事の成り行きを見守っておりました。

絶対あり得ない!嘘に決まってる!そう連呼しながらも僕は「おっぱい!おっぱい!」とその掲示に猛り狂った獅子の如くレスポンスをつけていたのですが、いくら書き込んでもさっぱりおっぱいがアップされる気配がないんです。

こいつはいよいよ罠だった気配が濃厚。やっぱりね、最初から信じていなかったよ、この世には神も仏もおっぱいもありゃしねえ、そんな気軽で安全におっぱいが見れてたまるかってんだ。あり得ないあり得ない。

そんなことを連呼しながら、まだアップされぬのか、まだなのか、ワシはもう辛抱たまらんぞと、今か今かとブラウザの更新ボタンを連打していました。それはそれは、マウスが壊れるんじゃないかという勢いで連打してました。さっきから言葉と行動が伴ってない。

ああ、僕はなんだかんだ言いながら、いま、ボタンを連打している。まだ見ぬ都内在住の女子大生(自称あやや似)Eカップのおっぱい画像がアップロードされることを信じて、胸をときめかせてボタンを連打している。こんなに心弾ませながらボタンを押した経験なんて、久しぶりじゃなかろうか。

そもそも、ボタンという物は押した時に心がときめかなければならないのです。それが電源スイッチであったにしろ、何かの起動スイッチであったにしろ、それを押すことによって何かが始まり、何かが変わる、何か凄いことが起こる。そして、その結果に心弾ませる。言うなればボタンとは心のワクワクの起動ボタンでなければならないのです。もっと言うとよい意味でのパンドラの箱でなければいけないのです。

科学技術が発達し、様々な分野でオートメーション化が進んだ現代社会。僕らは機械に対してどこか冷めている部分があるように思います。ボタンを押してものすごいグラフィックのゲームがプレイできて当たり前、便利な機械が動いて当たり前、パソコンが起動して当たり前。感動もドキドキもありゃしない。

僕らはもう、ボタンを押すことに何らワクワクしなければロマンも感じないのです。もう慣れ切ってしまっている。そんな冷め切った現代人が大半なのです。

そんな中にあって、僕は今、ボタンを押すことにワクワクしている。何かの間違いで女子大生が真実でおっぱい画像がアップされたらどうしよう、忘れていた何かを思い出すかのようにボタンを押している。それも連打だ。心をときめかせてボタンを連打している。こんな気持ち、どれくらいぶりだろうか。おっぱいを望んで更新ボタンを連打していたはずなのに、僕はいつしか遠きあの日に思いを馳せていたのです。

ボタン連打、いや連射に絶え間ないロマンを見出していた少年の頃のあの日、世間ではシュウォッチなる子供だましの玩具が発売され、



とまあ、上のような日記を、オッパイをアップロードすると宣言する女子大生とボタンを押すという行為の持つ魅力に絡めて熱く語った日記を書いていたのです。

もちろん、この日記は未完成で、まだ途中なのですが、これがとんでもない事態を引き起こしやがったんです。

上記の途中日記をですね、僕は職場で仕事をちょっと中断、ぶっちゃけるとサボりながら書いていたのですが、書いているうちにおっぱい画像をアップロードすると掲示板で書いていた都内在住の女子大生(自称あやや似)Eカップのことを強烈に思い出してしまいましてね、僕の脳の中の主に女子大生を司る部分が刺激されれてしまったのです。

もうこのあやや似女子大生を見つけることはできないだろうけど、それなら変わりに女子大生のサイトでも見て発奮するか、と日記書きをサボって女子大生の運営する日記サイト探しまくっていたのです。ここ重要ですよ、仕事をサボって日記書き、さらにその日記書きをサボって女子大生のサイト覗きをしていたのです。まあ、人間のクズです。

最近はブログブームだか金玉袋ブームだか知りませんが、手軽にサイトを作れるらしく、ちょっと探せば鬼のように女子大生の日記サイトが出てくるんですよ。中には物凄い上目遣いの顔写真とか掲載されていたりして、いい世の中になったものだ、と一人で感慨にふけっていたのです。

その女子大生サイトの中の一つに、「今日は○○ちゃんとプリンアラモード食べちゃった」とか書いてあるサイトがあって、普段の僕だったら、「違うだろ!もっとオッパイ的なことを書けよ!読者はそれを望んでるんだよ!」と怒り狂うこと山の如しのですが、女子大生脳になってる僕は、「うんうん、プリンアラモードだね」と納得しながら読んでいたのです。

そしたらその下の方には「めぇるちょうだ〜い」みたいな感じでメールフォームが設置してあったのです。普段の僕でしたら、「なにが、めぇるちょうだ〜いだ!もっとチンポ頂戴的なこと書きやがれ!」と怒り狂うことヨットスクールの校長の如しなのですが、女子大生脳になってしまっている僕は、「うーん、メール送っちゃおうかな」とえびす顔ですよ。

しかしまあ、落ち着け落ち着けと、対人スキルの低い僕がメールを出してもこの女子大生をどうこうできるわけない。この娘にとって僕はプリンアラモード以下の存在だ、と必死で言い聞かせましてね、なんとかメールを送るのを思い留まったわけなんですよ。

そうこうしているうちに就業時間。仕事は終わりなので帰っていいぜ!開放される時間です。ぶっちゃけると1ミリも仕事していないのですが、就業時間となると帰らないわけにはいきません。

日記、途中までしか書けなかったなー、女子大生脳になんかなっちゃったから書けなかったんだ、と上記の部分までしか書けなかったことを悔やみ、家に帰ってから続きを書いてアップロードしようと決意したのです。

僕が職場で途中まで日記を書いて家に持ち帰る場合、どうやって書きかけのデーターを家に持って帰っているか説明します。

職場のパソコンはデスクトップですのでパソコンごと持ち帰るというのは荒業すぎます。フロッピーやCD-R、USBメモリなどのメディアに書きかけ日記のファイルを入れて持ち帰るという手段が一般的に感じますが、以前の職場でそういったリムーバルメディアから職場にサイトバレしたほろ苦いセピア色の思い出がありますので、できれば避けたい。

こういう時はですね、インターネットを使うんですよ。死ぬほど便利になったインターネット回線を使った情報伝達を行うんです。パッと考えると、書きかけ日記ファイルを今皆さんがご覧になってるnumeri.jpサーバーにアップロードしてしまうのが良さそうなのですが、職場のパソコンにはそういった類のソフトが入っていない、おまけにサーバーのパスワードを覚えてないので面倒くさい、という諸事情から却下になるんです。アップロードって結構面倒なんだよね。おっぱいの画像なら喜んでアップロードしますけど、書きかけ日記はさすがにね。

そこでまあ、もっと手軽に書きかけ日記を家に持ち帰る方法ってのがありまして、これが実にコロンブスの卵的な手法でして、僕も気がついたときは「その手があったか!」と自画自賛的に唸ったほどですよ。

で、その方法というのが、今皆さんがご覧になっているNumeriのトップページ左側に鎮座しているメールフォームを使う方法ですよ。このメールフォームを使って送信をすれば、我が家のパソコンでメールとしてその内容が受信できる。お手軽に職場から自宅に文章を持ち帰ることができる。ホント、気がついた時は伊藤家の食卓に出そうと思ったほどです。

早速、自分のサイトNumeriを開いて、左側にあるコメント欄に書きかけの日記をコピー&ペーストと、おっと、書きかけ日記のファイルを閉じたままだった、もう一回開いてコピー&ペースト。そして「送信」ボタンを押して完了。

日記中では、ボタンを押すドキドキ感とか切実に語ってるのですが、本当に気軽な感じで、「気さくに 送ろう」って感じで「送信」ボタンを押しましたよ。

画面には、デカイフォントで「送信しました」の文字。よし、キッチリ送れたみたいだ、安心。あとは家に帰ってこのメールを受信して続きを書いて・・・と帰り支度を始めていました。

・・・・はて?「送信しました」だあ?

おかしい、おかしい。確か、Numeriのフォームメールは送った後にこんなメッセージを表示しないようになってるはず。具体的に言うと、そんな親切なメッセージは表示されなくて、普通にもう一度トップページが表示されるだけのはず。おかしい、なんでこんな親切なメッセージが表示されてるんだ。

はい、もうお分かりですね。ブラウザのバックボタンで戻ってみたら、見事に先ほどのプリンアラモード食べた女子大生のサイトですよ。見紛う事なき女子大生のサイトですよ。どうも、Numeriも女子大生のサイトも同時に開いていたので、送るメールフォームを間違えたみたいです。

考えてもみてください。熊さんとか飾ってるピンク系のサイトの女子大生がですよ、プリンアラモードとか○○ちゃんとか日記上で思いっきり実名っぽいのを出してる女子大生がですよ、いきなりメールフォームから上記のような書きかけの日記を受け取ったどうしますか。

もう一度上に戻って読み返してみてください。そして想像してみてください。この長文が丸々といきなりメールフォームから送られてくるのです。オッパイとか連呼しててエロい!セクハラだ!と思う以前にキチガイですよ、キチガイ。モノホンのキチガイがメール送ってきやがった、と警察に駆け込むこと必須ですよ。今頃女子大生は悲鳴を上げてるに違いない。

メールフォームを使った文書移動、便利だぜ、旨い話だぜと思ったらこんな罠がありやがった。間違えた時に死ぬほど恥ずかしいという罠があった。やはりネット関連の旨い話には罠があるなとつくづく思ったのでした。

間違えて女子大生に送って恐怖のズンドコに叩き落したであろう日記の中で、最近はボタンを押すときにドキドキしない、と書いたのですが、僕は送信ボタンを押した後に、「警察に通報されたらどうしよう」と物凄くドキドキしたのでした。

ちなみに、冒頭のおっぱい画像アップロードの女子大生ですが、死ぬほどリロードしたら見事に相撲取りの胸部がアップロードされてました。やはりネットの旨い話には罠がありやがる。

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