モンゴルサイドストーリー

モンゴルサイドストーリー

モンゴル放浪記本編で書き漏らした小さいネタをこの機会に!

さてさて、話は思いっきり遡りまして、モンゴルへと向かう飛行機の中。本編のモンゴル放浪記vol.1では行きのモンゴル航空での出来事は

そんなこんなで飛行機が離陸するわけなんですけど、機内放送はモンゴル語と韓国語と英語でした。何言ってるのか全然分からない。機長が神妙に「この飛行機は今から墜落します」とか言ってても全然分からない。怖すぎる。

そんな恐怖に怯えること数時間。いよいよ飛行機は墜落することなくウランバートル空港に着陸。着陸の際、窓際だった僕はすっかり日の落ちたウランバートルの景色を見ていたのですけど、それがなんというか、腰が抜けるくらい灯りが少ないんです。確かウランバートルは100万都市くらいだったはずなんですけど、それにしては灯りが少なすぎる。

とだけ書かれている。しかし、事態はそんなに単純なことではなかった。よくよく考えても見て欲しい。日本人なんて一人も乗っていない飛行機に、機内放送もスチュワーデスも全く違う言語。これがどれだけ心細いか。

飛行時間が5時間くらいあったのだけど、その間ずっと孤独に打ち震え、ただただ既に遠い物となってしまった日本国に思いを馳せていた。おそらく、人生において最も孤独な5時間だったかもしれない。

モンゴルな匂いのする機内。

全てにおいて全く言葉の通じない状況、日本語表記も皆無。

日本人が皆無。

今ここで殺し合いのバトルロアイアルが起こったとするならば、間違いなく僕が日本代表だし、日の丸を背負って戦うことになるだろう。それだけ僕がこのモンゴル行きの飛行機に残された唯一の日本、そのものだった。

日本は俺だけ、日本は俺だけ。そう考えながらなんとか5時間の時間を潰す方法を考える。

持ってきた暇つぶしの神器であるiPodやらNINTENDO DSやらはカバンに入れて上の棚に入れてしまった。取り出すのも面倒くさい。これがあれば少しは日本と言うものが感じられたであろうに、僕はあえてそれをしなかった。いや、荷物を出そうと席を立ったらモンゴルマンスチュワーデスに意味不明の言語で怒られそうで怖かった。

仕方がない、ボーっとして時間を潰すか、と窓の外を眺めたり、隣のモンゴルマンを眺めたりしていると、ふと座席前のポケットにしまいこまれた冊子が目に留まった。

画像

MONGOLICA

おお、モンゴル航空にもこんな粋なサービスが!そう思いましたよ。国内の飛行機会社、特にJALやANAなんかではこういった独自の冊子をサービスで置いてるってのは極めて普通で、退屈な移動時間の暇つぶしに最適で嬉しいのですが、まさかモンゴル航空でもこんなサービスがあるとは。

こいつはいい、さっそく暇を潰そうか、と手にとって読みましたよ。

画像

しかしまあ、よく分からない言語で書かれているページが多く、暇つぶしどころかますます「ここは異国なんだなあ」と寂しくなる結末に。大体なんだ、このヒゲのジジイは。その下に書いてある見出しも僕には顔文字にしか見えない。言語が意味不明すぎ。

そんなこんなで、遠き祖国日本を懐かしみながら、難解な言語で書かれた冊子を読み進めました。すると、そこには、僕の望郷心をかきたてる衝撃のページが!

画像

なんと、日本語で書かれたページ!

おお、モンゴル航空もなんと粋なサービスを!日本人なんてほとんど乗らないだろうに、そんな少数に向けて日本語のページを用意しているとは。なんと素晴らしい。なんときめ細かいサービス。

感動の涙を流しながら日本語の記事を読み進めると、どうやら記事はブギーンツァウと呼ばれる南部ゴビ砂漠付近にあるグランドキャニオンみたいな壮大な場所を紹介している様子。

恐竜の化石などが多数発見される場所だが、交通の便の悪さに観光客はほとんど訪れない。それ故に、今もなお手付かずの自然が残されていると記事では紹介されている。書いてある意味が分かるって素晴らしい。

なるほど、あまりに不便な場所にある故に、現在では発掘の人や一部の研究者しか訪れない場所か、ここはきっと観光客が遊び半分で行ったりとか、ましてや自費出版本を売ろうとしてるヤツが行ってはいけない場所なんだろうな。

ほら見てみろ、写真だって、人が全く手を加えていない壮大な自然を映し出してるではないか。そう人間がむやみに汚してはいけない場所、それが広大なモンゴルの大地には沢山あるんだよ。と哲学めいたことを考えながらこのページの写真を眺めていたのですが、何か様子がおかしい。

決して観光客が、ましてや遊び半分の奴らが訪れてはいけない場所の写真のはずなのに、写真中段にすごいものが写ってる。分かりやすく拡大すると。

画像

が、ガチャピンとムックーーーー!

おまえら、この手付かずの大自然で何してるんだよ!その凄い砂漠で何してるんだよ!まさかこんなモンゴル行きの飛行機の中でガチャピンとムックを見るとは思わなかった。

っていうか、この冊子って、モンゴルの人やモンゴルを訪れる外国人が手にとって見るんだろ。それで、ああ、日本語で書いてある、日本のページだねって、日本を思い浮かべながら日本語読めないから写真だけ見るんだろ。そしたらガチャピンとムックですよ。モンゴル人とか驚いちゃってモンゴル相撲するしかないですよ、これは。

ということで、異国の飛行機の中で孤独さと寂しさに打ち震えていたのですが、予想外のガチャピンとムックの登場に、日本とかマジどうでもいいや、と諦めの境地を悟り、そうこうしているうちに飛行機はモンゴルに到着したのでした。

関連タグ:

2005年 モンゴル放浪記 TOP inserted by FC2 system