ハリーポッターとアズカバンの囚人-後編-

ハリーポッターとアズカバンの囚人
-後編-

見てもないのに映画レビュー、息もつかせぬ急展開の後編をどうぞ。

前編のあらすじ
ロスで多発する動機不明の凶悪犯罪。ロス市警の名物刑事ハリーは一人で対応に追われていた。そんな折、シカゴ刑務所の囚人が結集して暴動を起こしたというニュースが舞い込む。囚人たちは開放同盟アズカバンを名乗り、全米の刑務所の開放を要求した。応援要請を受けたハリーはシカゴに飛び、単身で刑務所内へと乗り込む。そこには開放同盟の幹部として、かつての相棒ポッターが立っていた。

後編

対峙するかつての盟友、ハリー&ポッター。

「アズカバンという名前を聞いてピンときたよ、ポッター。いつも言ってたもんな」

そっと懐に忍ばせたマグナムに手をかけながら話しかけるハリー。

「ああ、やっぱり親父のこと、忘れられないんだろうな・・・」

いつも聞いていた話だった。ポッターの親父はポッターが5歳の頃、終身刑になった。当時はニューヨークに住んでいたポッター一家、そこで親父は2年間で実に5000人の女性をレイプしたのだった。当時、「摩天楼の連続強姦魔」としてニューヨーク中が恐怖に震え上がったと記録に残っている。

「終身刑になった親父はいつも”アズカバン”とだけ書いた手紙を獄中から送ってきた。そうだったよな」

「ああ、そうだ。意味なんかわかりゃしねえ。けれどもな、その言葉だけが俺の中の親父の思い出だった。そして、刑務所という場所のイメージだ」

「だからアズカバンという名前を・・・ポッター、お前が暴動の首謀者なのか?」

「違う、俺はただフランクにそう提案しただけだ。暴動の提案に乗っかり、開放同盟の名前をそう提案しただけだ。フランクは最初から暴動を起こす気だったぜ」

「フランク・・・そいつが首謀者なのか・・・?」

ポッターはうなずかなかった。しかし、お互いに分かっていた。ここで殺しあうことになるだろうと。ポッターだって譲れない信念があって開放同盟に参加したのだろう。もちろん、ハリーだって悪を許せない。先に進まねばならないのだ。お互いに信じた道は何があっても譲らないのだ。

「久々にやるか?」

「ああ、ちょっとは腕前上げたのか?」

署内の道場でいつも手合わせしていた2人。しかし、今は手合わせなんかじゃない、本気の殺し合いだ。ああ、どうして2人が殺しあわねばならないのか・・・。

「そこにいるのは誰だ!」

突如、通路横からサブマシンガンを持った囚人が現れる。開放同盟の見張り役だろう、ハリーに向かって発砲してきた。

「ちっ、ひとまず撤退だ」

敵の急襲に撤退するハリー。ポッターと殺し合わなくて済んだことにどこかホッとしている自分がいた。そして、銃を構えたまま同じような表情をしているポッターがいた。

刑務所を出て本部に戻ったハリー。早速捜査員に「フランク」という囚人について調べるように指示する。その時だった。

捜査本部に置かれた無線が突如鳴り出したのだ。

「国内全ての刑務所内にて同時多発的に暴動が発生。国内全ての刑務所で暴動発生中」

「ば、ばかな・・・!?全ての刑務所で暴動が?」

パニックになる捜査本部。その中でハリーだけが冷静に、「こりゃあ、ただの暴動事件じゃない。もっと大きな背後関係があるはずだ。じゃなきゃ同時多発暴動など・・・」

そこに若い捜査員が小走りにやって来る。

「フランクのことが分かりました。ヤツは詐欺罪で懲役12年で服役中の囚人です」

「ほう、詐欺罪・・・どんな詐欺だ?」

「はい、どうも宗教団体の代表らしく、信者からのお布施に関するトラブルがあったようです」

「なるほどな、これで全てが繋がった」

とまあ、ここからハリーの謎解きが始まるわけです。詳しくはまだ見てない人のためにネタバレを防ぐために書きませんけど、結果だけ書くと、フランクがやっていた宗教団体はインディアン部族の流れを汲む宗派で、虐げられてきた自分達が開放されることで真の幸福を得るという教義を持っていたのです。「抑圧から解放される時に真の幸福が訪れる」と。

そこでハリーはピーンときたのです。連続していた動機不明の凶悪犯罪。これは信者達の手によるものなのじゃないかと。抑圧から解放されるためには抑圧される必要がある。教祖のフランクをはじめ、彼らが選んだ抑圧とは「懲役」でした。そしてそこから開放されるために暴動を起こしたのです。全ては教義を実現するために。

しかし、連続していた犯罪の犯人は全て関連性のない人物でした。これは、フランクの教団がネットワーク型宗教という新しいスタイルの宗教で、インターネットを介して活動していたからで、信者同士の繋がりが分かりにくくなっていたのです。

「答えは分かった。暴動をは全てフランクの信者達が中心になって起こしている。ならばフランクを捕まえれば全ての暴動が収まるってわけだな」

マグナムに弾を込めながら決意するハリー。フランクを取りに行く以上、ポッターとの対決も避けられない。けれどもハリーは行かねばならないのです。

でまあ、またも無鉄砲にも単身で刑務所内へと突入するハリー。この辺は割愛しますが、とにかく凄いアクションです。並み居る囚人を千切っては投げ千切っては投げ、とにかく鬼無双の大立ち回り。きっと、怒りがハリーを鬼に変えたのでしょうね。

そして、ついに刑務所屋上での最終決戦に臨むハリー。闇の中を照らす投光器の先にはポッターとフランクが立っています。

「キサマがフランクか!こんなことをしてどうするつもりだ!?」

「ふふふ、しれたことよ」

黒マントを翻すフランク。ふてぶてしく答えます。そして、その横で仁王立ちのポッター。

「フランク、貴様がやりたいのは教義を実現することじゃないのか!?自らで勝手に抑圧し、自らを解放する、そういうことじゃないのか?」

「フハハハハハハ、愚かな。確かに信者を言いくるめるためにそのようなことを言ったわ。けれどもな、真の狙いはそんなものではない。私の真の目的は長年虐げられてきた我が部族の開放、それだけだ。現政府の転覆、それには全犯罪者の解放が一番手っ取り早いのだ」

「くっ、コイツ、狂ってやがる・・・」

「さあいけ、ポッターよ、邪魔する者を片付けるのだ!」

武器を構えてにじり寄るポッター。迎え撃つハリー。やはり2人の衝突は避けられないのです。

でまあ、2人の対決は間違いなくクライマックス。お互いに涙を流しながら一進一退の殴り合い。もう、とにかく凄い戦闘シーンで、あまりに過酷な撮影のためか、このシーンの撮影でADが8人死んだらしいです。

「ゆるせ、ポッター」

最終的にはハリーの勝利。ハリーが放ったマグナムの銃弾はポッターの胸を捉えました。

「ポッタアアアアアアアア!!」

自分で撃っておきながら叫ぶハリー。スローモーションになり、二人の思い出が走馬灯のように流れます。さらばポッター、さよならポッター。

「フランク、キサマだけは、キサマだけは絶対に許さん!」

ポッターの死体の横で怒りを燃やすハリー。死に物狂いの表情でフランクに飛び掛ります。

しかしながら、フランクが強い強い。相当武術を習得しているらしく、怒りに燃えるハリーを子ども扱い。一気にフェンス際まで追い込まれたハリー、もう一押しで屋上から転落するところまで追い詰められます。

「フハハハハ、コレでお終いだ、死ね!」

その瞬間でした。

ズキューーーーーン

背後からフランクの頭部が撃ち抜かれました。そしてそのまま、声とも悲鳴とも付かぬ音を立てて倒れこむフランク。命拾いしたハリーが銃声がした方を見てみると・・・

「ポッター!なんでお前!」

そこにはポッターが立っていました。

「防弾チョッキさ!」

なんでも、ポッターは内偵調査のために刑務所に入り、フランクに近づいていたそうです。FBIはフランクが興した宗教の不安な動きをいち早く掴んでいました。そして、その企みを阻止するため、ポッターに内偵調査を命じたのです。

「じゃあ、お前が起こしたあの犯罪は・・・」

「そんなの嘘に決まってるじゃ」

ポッターがそう言いかけた時、何処からともなく声がしました。

「いいや、本当だ!」

チョッパー課長でした。

「ポッターが幼女にイタズラをして逮捕されたところまでは本当だ。けれどもな、ポッターは司法取引をしたんだよ。捜査に協力するなら無罪放免にする、そう取引して内偵調査に当たっていたんだ」

「てへ、ばれちゃ仕方ねえや!かわいかったなあ、あの子」

「コノヤロウ、心配したんだぞ!法廷にまで立たせやがって!」

「メンゴ、メンゴ」

こうして、いつものハリー&ポッターコンビが復活したのです。

「なあ、ハリー、いつものセリフ言ってくれよ」

「そうだな・・・・。アズカバンの囚人はみんなの心の中にある。白人も黒人も関係ない」

感動しました。

そして意味も分からずはしゃぐポッター。

「ひょー、意味わかんねえけど最高にクールだぜ」

「さあ、帰ろう、ロスで山ほどの事件が俺達を待ってる」

ヘリに乗り込むハリーとポッター、そしてチョッパー課長。機体は静かに飛び立ち、シカゴの夜景を映し出します。

「なあポッター、俺な、お前の親父さんが残した言葉の意味、実は知ってるんだ」

「ん?アズカバンの意味か?」

「ああ、アズカバンはアフリカ奥地の言葉で”しゃくなげの花”の意味なんだ、そして、”しゃくなげの花”の花言葉は”愛する者への謝罪”。親父さん、お前に謝りたかったんじゃないのかな」

「・・・・親父」

誰もいなくなったシカゴ刑務所、その周りをぐるっと囲むように、しゃくなげの花が咲き誇っていました。まるで誰か愛する人に謝罪するかのように。

とまあ、後はシカゴの夜景とヘリを映しながら、エンディングテーマであるエミネムの「俺達ひょうきん族」が流れ、感動のうちに終ります。全体として親子愛やら熱き友情、人種差別問題などをリリカルに演じ、果ては戦争批判まで。それらがなんの抵抗もなくスーッと心に入ってくる感じがして最高に感動しました。いい映画だと思いました。

評価☆☆☆☆☆

次回の見てもないのに映画レビューは、「ハリーポッターと炎のゴブレット」公開時です。予告編によると、ロサンゼルスに突如として現れた巨大ロボット、それに対抗するためにロス市警はハリー&ポッター型巨大ロボットを製造。いつもの2人がロボットになってハチャメチャ大暴れ、NASAまで巻き込んでさあ大変。というイメージらしいです。サブタイトルは「ハリーポッターとロボット大戦争」ご期待ください。

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