ひとりDE興奮剤

ひとりDE興奮剤

セックスはスポーツです。

古来の日本人は貞操観念が強く、性的障壁が高いものと思われがちですが、実はそれは大きな間違いです。小さな山村で当たり前のように行われていた夜這い習慣やらを考えてみますと、日本人は比較的フリーセックスを楽しみ、子作り以外の目的でセックスを楽しんだとかんがえるっことができます。貞操観念や処女尊重といった概念は西洋から入ってきたものなんですね。

でまあ、昔から脈々とセックスをエンジョイするといった思想が日本人にはあったわけなんですが、最近、富にそれが酷くなってると感じませんか。

街を歩けばセックスに当たります。街中を男女で歩いているカップルは間違いなくセックスをしています。あの老人も、あの若者も、あの熟年も、あの小学生も、とにかくセックスをやってやってやりまくっています。今夜一晩で一体どれだけのセックスが消費されるか。アナタがいまこのページを読んでる間にも、どれだけのカップルがセックスに勤しんでいるか、計り知れません。

いくら昔から気軽にセックスを楽しむ習慣があったとはいえ、現代のセックスはそれ以上に気軽に成り果てました。大好きな人と最高のシチュエーションでセックス!私の大切にしてるものあげるの。なんてのは最早幻想で、おとぎ話にすらなりません。

今や、出会ったら即セックス! フィーリングが合えば即セックス! シェイクハンド感覚で即セックス! とりあえず、食後のセックス! スポーツ感覚でセックスの競技会! 合コンで出会って30分後にはセックス!

とまあ、節操も無くセックスに行き着く次第なわけです。

街にはカップルが溢れ、小奇麗なラブホテルは常に満室。繁華街の男女はセックスが服を着て歩いているようなものです。

まるで日常のようにセックスを嗜んでいるカップルにとって、最大の敵はマンネリです。

「ああ!」

「・・・・でるっ!」

「はぁはぁ」

「はぁはぁ」

「なんか疲れちゃったね」

「気持ちよかった・・・?」

「・・・うん、まあね」

毎度判を押したように同じセックス。マンネリと社交辞令と気遣いの狭間で蠢く男女のエトセトラ。そこでのセックスはもはや通過儀礼に過ぎません。そこで、世のカップルどもはマンネリセックスを打破すべく

「な、今度は後ろの穴でしてみっか?」

とか

「セーラー服着てやってみようぜ!」

「バイブ使ってみようぜ!」

「外でやってみようぜ!」

などと、少しばかり趣向の違ったセックスに走るわけです。

ハッキリ言いますと、マンネリセックスを打破すべくこうやって様々なセックスにチャレンジする人間は勝ち組です。セックスに溺れ、セックスに飽き、セックスを探求する。人生の成功度が、どれだけ充実したセックスをしたかで決められるのならば間違いなく勝ち組です。

セックスをスポーツと捕らえ、充実したセックスライフを楽しむごく一部の勝ち組に、圧倒的多数の負け組。

充実したセックスをしていない者は人にあらず。

そんな言葉が違和感なく浸透するほど、我々の人生はセックスによって天秤にかけられるようになりました。セックスに飽きず、セックスを探求せず、一風変わったセックスにチャレンジしない者は負け犬、そう言われても何も言い返せないのです。

冗談じゃありません。

日夜オナニーに明け暮れ、擦りすぎてチンコの皮がずる剥けている僕らだって生きているんです。呼吸すれば恋だってするし、悲しければ泣いたりするんです。そう、何もセックスに明け暮れるカップルだけが人間なわけじゃない。

ということで、今回僕は、セックスがマンネリになってきたカップルが手を出すかもしれない「興奮剤」に焦点を当て、あえてそれをオナニーに用いることで新境地のオナニーにチャレンジしました。興奮剤を使って一風変わったセックスにチャレンジするカップルを尻目に、あえて一風変わったオナニーにチャレンジします。

これは一人の男による、独りぼっちの闘争記録である。

○はじめに(興奮剤とは)

今回、僕が用いた興奮剤は、「ローヤルエクスタシー」と呼ばれるものです。これは医薬品ではありませんので、普通にネット通販などで買えます。

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ローヤルエクスタシー

HPの宣伝文句には「ガラナ・オットセイエキスにコラエキスを新たに加えました!皆様の声に応えし、スポイドタイプで新登場!」と書かれています。コラエキスってのが良く分かりませんけど、とにかく凄い代物みたいです。

で、さらに書かれている使用者の反響の声を読んでみると

○ 半信半疑で試してみたら・・・・・お堅いはずの彼女が・・・・こんな姿みたことない!!

○ 飲み物に数滴混ぜてみたらモジモジ、ソワソワ??もう我慢できない!!

○ ビール、コーヒー等に3〜5滴入れるだけ ・・・

〜 ぜひ、一度 お試しください 〜二人の関係がかわる??

と書かれております。微妙に80年代風のコメントが秀逸で、肉感的な文字が躍ります。「モジモジ、ソワソワ??」辺りは天才コピーライターが書いたとしか思えません。「二人の関係がかわる??」なんて神の領域です。

でまあ、これを読む限り、どうもマンネリセックスに飽きたカップルが、性行為の30-40分前にビールなどの飲み物の混ぜて飲むとですね、モジモジソワソワするらしいのですよ。で、いつもは事務的なセックスしかしない彼女が、狂い咲きと言わんばかりに淫靡に乱れ、オルガ夫人の如く腰を振りまくるみたいです。充実したセックスに、2人の関係も変わる、そういうことみたいです。

なるほど、ということは僕がコレを飲んでオナニーすれば、いつもはおざなりな事務的オナニーだけど、モジモジソワソワ、雄叫びを発するくらい、チンコが取れるくらいのオナニーをするに違いありません。まさに、一人の関係が変わる??です。

ということで、早速「ローヤルエクスタシー」を購入しました。

○購入

15 mlで5000円なんていう、どっかの宗教団体の教祖の聖水以上に高価なローヤルエクスタシーを購入し、今や遅しと我が家に届くのを待ちます。

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届きました。

宅配伝票には「品名:精力剤」の誇らしいほどに勇ましい文字。勇ましすぎて泣けてくる。(要望に応じて「PCパーツ」などと書いてくれるみたいですが、あえて精力剤でいきました)

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小包の中には小瓶が一本と、説明書のような紙、さらに他の興奮剤や精力剤を紹介したパンフレットが入っていました。っていうか、ビンのラベルが明らかにチープすぎる。

○飲む

とりあえず、ビンの中身の液体は無色で無臭。何か飲み物に3-4滴ほど入れて飲むと書いてありますので、近くにあったグレープフルーツのお酒に4滴垂らし、飲んでみました。

40分後。

何も変化がありません。

僕的には、飲んだ40分後には満月を見た悟空のように豹変し、街に繰り出して女どもを恐怖のズンドコに叩き落す性獣に豹変するかと思っていたのですが、別に何も変化ありませんでした。性獣にならないまでも、モジモジ、ソワソワくらい始まってもいいのですが、全然変化ありませんでした。

おかしいな?

そう思い、もう一度、酒にローヤルエクスタシーを、今度は倍の8滴垂らして飲み干しましたが、別段変化はありませんでした。

試しにエロ本を読んでみたのですがピクリともせず、おまけに一発オナニーをしてみましたが、普段と変わること無い、一年に1000回はするであろうオナニーの1回に過ぎませんでした。全然効かない。モジモジソワソワしなければ、一人の関係も変わらない。どうなってんだ、ローヤルエクスタシー。

ということで、まずは全く効き目がありませんでした。

○ムード作り

おいおい、騙されたじゃないかー、と同封されてきた説明書を読んでみましたところ、そこには衝撃的な一文が書かれていました。

「雰囲気作りが最も大切です。雰囲気を作らなければ効果は得られません!」

なるほど、何で効果が出ないのかなーと思っていたら雰囲気が足りなかったのか。

そりゃ、カップル同士のおセックスにしても雰囲気は、いやムードは大切。ムードのないセックスなんて盛り上がらない。それは一人のオナニーかて同じこと。ムードのないオナニーなんて盛り上がらない。

よっしゃー、ムーディーな雰囲気作ったるぞ。オナニーするのに最高なムーディーな雰囲気作ったるぞー、と僕は近所のホームセンターに走るのでした。

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部屋の照明をピンク色にしました。

携帯カメラじゃ微妙に色合いが出ないのですけど、ホームセンターでピンクのセロファンを買ってきまして、蛍光灯にグルグル巻き、部屋中をピンク色にしてエロスな雰囲気を演出してみました。これはもう、ムード満点と言う他ない。

ムード満点、ピンク色の部屋の中でローヤルエクスタシー入りのアルコールを数滴飲み、エロ本片手にオナニーしてみましたが、何も変わりませんでした。いつものオナニー、1/1000のオナニーだ。っていうか目がチカチカしてきた。場末の風俗店か、ここは。

そんなこんなで、ムードを作ってみたものの、やっぱりダメでした。

○もっと飲む

全然効かず、全く持って性獣にならないことに腹を立てた僕。これでは新しいオナニーどころではありません。もう、頭に来ちゃったので1ビン全部一気飲みしました。お酒なんかに混入させず、ビンからじかに飲み干したりました。

3-4滴飲むことと書かれているのに、15ml全部、滴にしたら多分500滴くらいあると思います。それを全部飲み干しました。ちなみに、さっきまでは酒に混ぜて飲んでいたので分かりませんでしたが、微妙に苦い味がしました。

さらに万全を期すため、今僕の中で考えうる最高のシチュエーションを演出してムード作り。ウチの近所にある看護学校の校門まで走っていきました。これ以上最高のムードなんか存在しない。ムード作りもばっちり。

もう夜ということもあり、もちろん看護学校の門は強固に閉ざされており、校舎も真っ暗でした。人っ子一人いない。

しかし、昼間はココで、ナースの卵たちが清い汗を流して勉強してるかと思うと、ちょっとドジだけど頑なにナースを目指す上戸彩みたいな子(しかも黒ぶちメガネ)がいるかもしれないと思うとモジモジ、ソワソワ。ローヤルエクスタシーの効果か看護学校の効果か知りませんが、とにかくモジモジ、ソワソワしました。

で、なんていうんですかね、体の中から熱くこみ上げてくるものと言うか、なんというか、とにかく熱い情熱みたいなのが体の芯から湧き上がって来たのですよ。

ま、まさか。これがローヤルエクスタシーの効果!?もしかして僕はここで性獣に変わってしまうのか!?キタキタキタキターーーー!

おえエエエエエゥエええゥゥええ

ゲロ、吐きました。

ローヤルエクスタシーを一瓶飲んだのがマズかったのか、飲み慣れぬ酒を飲んだのがマズかったのか、走ってきたのが良くなかったのか、あるいは吐けば優しいナースが介護してくれると思ったのか知りませんけど、とにかく吐きました。

5000円も出して購入したローヤルエクスタシーは、僕を性獣に変えることもなく、新しいオナニースタイルを見出すこともなく、一人の関係が変わるわけでもなく、ただ看護学校脇の草むらの土に還ることになりました。うん、5000円返せ。

ということで、カップルがマンネリなセックスのスパイスとして飲む興奮剤でしたが、それを一人で飲んでも僕には効果があまりありませんでした。それどころか、5000円もするわ、蛍光灯のセロファンを剥ぐの面倒だわ、看護学校脇でゲロなんていうキッツイ思い出をプレゼントされるわ、と散々でした。うん、こりゃあカップルで飲むもんだわ。

×僕−(嘔吐)−ローヤルエクスタシー○

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