テキストサイトお宅訪問シリーズ1-断崖絶壁編-

テキストサイトお宅訪問シリーズ1
-断崖絶壁編-

さてさて、気候もすっかり暖かくなり、春うららかな風が心地よい季節となりました。僕のほうはと言いますと、家電品全てを盗み去っていった盗賊団(親父)から死守したパソコンをネットに繋ごうと四苦八苦しております。ADSLにするか、光ファイバーにするか、意表をついてISDNにするか悩んでおります。

そんなこんなで、全く脈略がないですが、いきなりの新シリーズです。題して「テキストサイトお宅訪問シリーズ」。普段何気なく読んでいるテキストサイトたち。往々にして管理者さんであるテキスト執筆者の方々の個性というかパーソナルな部分がクローズアップされることが多いかと思います。

テキストサイトにおいては、文章を読ませるというよりも個性の部分、つまりパーソナルを売り物して閲覧者さんを惹きつけることが多いかと思います。もちろん、文章だけで多くの人を唸らせる神のようなサイトもあるのですが、多くの場合は管理人の個性による部分が大きいのではないかと思います。

しかしながら、パーソナルを売り物にしていると言っても、そこはやはり管理人も人の子、サイトバレの恐怖やらその他諸々のしがらみにより、なかなか本当の意味での私生活というものは見えてきません。そう、個性を売り物にしつつ、私生活を見え難くしている、そういったアンバランスさがテキストサイトには多く存在するのです。

個人の考えや個人の行動、個人の生きてきた軌跡、そういったその人にしか書けないテキストを分かりやすい言葉で書いてくれるテキストサイト、管理人さん自身を身近に感じることができる、そんなサイトが大好きです。

身近に感じさせつつ、その半面でミステリアスな部分も感じる、そんな二面性をテキストサイト管理人は少なからず持ち合わせているのではないかと思います。

今回、私はサイト管理人の一員として、サイト管理人のミステリアスな部分の謎を氷解すべく、「テキストサイト管理人お宅訪問」シリーズを企画しました。あのサイトの管理人は普段どんな生活をしているんだろう?あの人の私生活ってどんなんなだろう?そういった疑問を解決すべく、ずかずかとサイト管理人の家を訪問し、あらゆる面を詳細にレポートしたいと思います。

お宅訪問シリーズの栄えある第1回目は「断崖絶壁」というサイトです。こちらのサイトの管理人「ねんまに」さんは、先のNumeriキャラバン2004関西ラウンドを同行してくれたほか、名古屋開催やドクデスにまで参加してくれるアホっぷりを見せ付けてくれました。サイトの方はといいますと「非モテ妄想系自虐童貞日記」という訳の分からないジャンルで精力的に活動されており、ネゲットしたのに10日間で振られるという伝説も打ち立てました。

サイトでは非モテを吹聴し、実際には女をとっかえひっかえ、無残に捨てた女の自殺未遂騒動が波紋を呼んだりと、サイトキャラと本人キャラとの隔絶が噂される彼ですが、今回はそんな彼のミステリアスな部分を、サイト管理人としてではなくパーソナルな部分を暴くべく、彼のお宅を訪問することとなりました。断崖絶壁のねんまに君、いったい彼はどんな私生活を営んでいるのか、とくとお楽しみください。

「おい、ねんまに。今からお前の家行くから、最寄の駅まで迎えに来て」

ある休日の昼下がり、携帯電話を手にした僕は突如彼にそう告げました。彼にとっては寝耳に水、予想だにしていなかったことで大層驚いたようです。

「ななななななにいってんですか。今からって・・・・どういうことですか?」

「どうもこうもない、行くっていってんだから迎えに来てよ。たしか○○駅だったよな」

「○○駅じゃあちょっと遠いので、XX駅で降りてください」

とまあ、訳の分からないやり取りがあり、晴れて彼の家を訪問することとなりました。

大阪府内に住む彼、某私鉄を乗り継いで彼の住まわす町に向かいます。指定されて駅に降り立つと、ちょっと年代の古さを感じさせる典型的私鉄沿線の町が広がっておりました。「ファミコンショップ」とデカデカと書かれた、今時ファミコン売ってどうするよ、とツッコミたくなるような店舗が立ち並んでおりました。

待ち合わせ場所でねんまに君と合流し、いよいよ彼の住む部屋へ。一緒に並んで歩きながら彼の部屋についてリサーチをします。

「いやー、駅から近いし便利が良さそうな所じゃないの。家賃いくらぐらい払ってるの?」

「19000円です」

圧倒的火力、圧倒的低家賃。大阪府内、私鉄駅からこれだけ近い場所にあるにも関わらず2万円を切る低家賃、普通に考えてありえません。資本主義じゃありません。「こりゃあ、途方もない部屋が出てくるに違いないな・・・」、彼の部屋へと向かう道中、まだ見ぬ地獄のような部屋を想像し、ギュッと兜の緒を締める僕の姿がありました。

彼に案内されるがままに古びた町並みを歩き、小学生ぐらいしかつかわね―だろ、と言いたくなるような近道を潜り抜けて、いよいよ彼の住まわすアパートに到着しました。

「ここが僕のアパートです」

笑顔でそう紹介する彼の背後に広がる廃墟のような朽ち果てた建物。北斗の拳に出てきてもおかしくないような佇まい。なんというかオロローンって効果音が聞こえてきそうな建物だった。

「こ、これが家賃19000円の物件・・・」

育ちの良い財閥出の僕なんか建物を見ただけで恐れおののいてしまうのだけど、そんなこと気にせずとっとこと歩みを進めていく彼。

「ここが僕の部屋です」

見ると部屋のドアにはネームプレートが貼ってあり、物の見事に彼の本名が相撲取りみたいなフォントで書かれていました。「ねんまに」とかHNを名乗ってやがるくせに部屋の前にはモロに本名、当たり前のことだけどちょっと笑ってしまいました。

しかし、部屋の中に入ってみるとさらにカルチャーショック。四畳半くらいの独房としか思えない部屋が口を開けて待ち構えてました。風呂もトイレも共同ですから別の場所にあります。つまり、ドアを開けると独房のような部屋が出てくるのみ。明らかに狭すぎる。ちょっと精神的に病んでる人なら発狂しかねない狭さ。

おまけにその部屋にテレビに冷蔵庫にコタツにパソコンに、何から何まで詰め込んでいるものだから、おもちゃ箱をひっくり返したような状態になってました。人間が入れる場所なんて布団の上のみ。8畳の部屋に住んで家財道具が何もない僕と比べたら物が多すぎです。

冷蔵庫なんてドアが閉まらないらしくてガムテープで止めてるし、テレビなんて今にも天に召されそうです。そのようなボロボロの家財道具に、家賃19000円の懲罰房のような部屋。お金がなくてさぞかし苦労している苦学生なんだろうなーと思うのですが、よくよく見ると何かがおかしい。

コタツの上を占拠する新品のハイパワーパソコン、これなんて相当高価なはずです。おまけに部屋の中を見回すとプレステにドリームキャスト、ゲームキューブなどなど、古今東西ありとあらゆる種類のゲーム機がありました。うん、金の使い方を間違っとる。部屋や家財道具に金を掛けず、ゲーム機とパソコンに金をかける。根本的になにかがおかしい。なんていうか、雑然と朽ち果てた部屋の中にある最新鋭のパソコンとゲーム機が異常なアンバランスだった。

で、家主であるねんまに君、どうやら自サイトの連続更新企画なんていうトチ狂った企画の真っ最中だったらしく、部屋に入るや否やパソコンに向かって狂ったように連続更新してました。

これだけ苦学生を地で行っている彼です、インターネット回線も「金がかかるから」という理由で貧弱なものである可能性が高いです。しかしながら、アンバランスにネットとゲームには惜しみなく金をつぎ込む彼、下手したら生意気にもADSLくらいは導入している可能性があります。

「ネットにはどうやって繋いでるの?アナログ?テレホーダイ?まさかADSLとか?」

と尋ねましたところ、

「光ファイバーです」

という驚愕のコメント。この部屋にファイバーだなんて。どんだけアンバランスやねんと。どんだけネットに狂ってるねんと。

彼がネットとゲームに狂い、それだけに金を注ぎ込んでいることは理解できました。次に、彼の部屋の片隅にある本棚を見ることにしました。本棚に並べられている本を見ればその人の人格が分かる、なんてよく言われることです。早速、並べられている本を見ました。

まあ、マンガ本がギュウギュウにつまっていて、それに混じってフランス書院などのエロ小説が微量だけ存在していたのですが、中でも目を惹いたのが「こち亀」の存在。

「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称「こち亀」という週刊少年ジャンプで連載されているご長寿マンガの単行本が並べてありました。もう140巻ぐらいまで単行本が出ている化け物みたいなマンガなのですが、その単行本がシッカリと彼の本棚に鎮座。

「お、こち亀あるじゃん、全巻集めてるの?」

「いやー集めようかと思ったんですけど、途中で挫折しちゃって」

見ると本棚には飛び飛びで単行本が並べられていました。

1巻、3巻、8巻。

どういう買い方をしたらこんな飛び飛びになるのか理解できないですけど、それ以上に驚愕したのがその後に続く単行本でした。

1巻、3巻、8巻、120巻。

8巻から120巻にいきなり飛んでました。8巻と120巻の間、彼に何があったのか、そればかりが気がかりでした。というか本当に全巻揃える気だったのかよ。

「これ食べます?」

気を使ったのか、ねんまに君が棒状のゼリーを差し出してきました。駄菓子屋でよくありそうな原色バリバリの食ったらガンになりそうな駄菓子。しかも30本入り。このようなものを客人に出す時点で何かがおかしいと思うべきです。

その後は「連続更新なんてどうでもいいよ」という彼と桃鉄をプレイしたり、宅配でピザを注文したのですが、机の上には容積率700%くらいでパソコン様が鎮座しておられたので食べる場所がなく、布団の上にピザを広げてストリートチルドレンみたいに食ったりしました。

で、その後は狭い部屋で完全なる雑魚寝。始発ぐらいの時間に目が覚めた僕は、ぐっすり眠る彼を横目にエロ本捜索をしたりして部屋を後にし、始発で帰りました。

異常にアンバランスな彼の部屋、朽ち果てているくせに高価な品物があったり、光ファイバーだったり、こち亀の単行本の揃え方がおかしかったり。このアンバランスさが狂気へと変わり、彼の生み出す文章のクレイジーさを演出しているのではないかと思いました。

そうそう、サイトでは非モテで売っている彼でしたが、部屋の壁には女子高生とキスしているプリクラやらホテルでプレイしている写真やハメ撮り写真が飾ってありました。しかも全部違う女性、みんなけっこうカワイイ。サイトでは非モテのくせに実際にはプレイボーイ、それが一番のアンバランスでした。

サイト管理人の私生活をクローズアップする「テキストサイトお宅訪問シリーズ」。次回はあなたの家にお邪魔するかもしれません。

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