Numeriキャラバン2004 Round14

Numeriキャラバン2004
Round14

高級ホテルで目覚める朝は高貴だ。もはや売る在庫もなく、所持金も減る一方であると言うのに富山で随一の高級ホテルに泊まった僕。なんというか、この旅で一流の人間の立ち居振る舞いを覚えたような気がする。

アンニュイに目覚め、バスローブを少しだけはだけさせて朝日を浴びる。その横では苦めのモーニングコーヒーが既に用意されており、高層ホテルの窓から城下町富山を、下民どもを眺めて呟く、「さあ、今日も旅立つか」。孤独な男の高貴な旅立ちの朝。

なんてことは全くなく、普通に寝坊しました。うん、モロ寝坊。「明日は長野だしなー、この時間に起きればいいかなー」って考えてた時間を軽々と超越してました。ネグセバリバリ伝説だしヨダレ出てるし、なぜだか知らないけどパンツが半分ずれた状態で寝てたからな。もう、高貴とか程遠い。チンコ半分出てたからな。

でまあ、まだ半分寝てるような状態で富山市を飛び出し、長野を目指して車を走らせます。北陸道を通って新潟を目指し、そこから南下して長野を目指すのですけど、糸魚川って場所で高速を降りて白馬村を通ったほうが早そうなので思いつきでルート変更。すごくみずぼらしいインターチェンジを降りて長野を目指します。

あのな、もうここまで何日間も旅をしてきて疲れがピークに達してるわけだ。意識は朦朧としてくるし気がついたら変なこと考えてるし、そんな限界状態で運転をしてるわけだ。

で、この白馬村周辺ってのはスキー場が多くてな、国道脇にはスキー場の看板が山のように立ってるわけ。「ナントカスキー場、25キロ先」とか普通に書いてあるの。でな、その中でも特に宣伝熱心なスキー場があってな、海のそばにあるスキー場ってのが売りなのかもしれないけど「シーサイドバレー」っていう看板が親の敵みたいな勢いで立ってるわけ。

あっちを見ても「シーサイドバレー」こっちを見ても「シーサイドバレー」カーブを曲がれば「シーサイドバレー」、とにかくすごいの。で、旅の疲れで頭が朦朧としてるもんだから「シーサイドバレー」が全部「サイトバレ」に見えちゃうわけ。

あっちを見ても「サイトバレ」こっちを見ても「サイトバレ」カーブを曲がれば「サイトバレ」、とにかくすごいの。看板見るたびに職場のメンツが浮かんできて身悶えてたものな。嫌なメモリーを思い出して家に帰りたくなったよ。

そんなこんなで涙のドライビングをくぐり抜け、珍しく時間通りに長野に到着。遅刻することなく集合と相成りました。


14-1長野市 長野駅前
参加人数:12人くらい
売上冊数:3冊
備考
駅前に佇むピエロ。見た瞬間に分かったね、ありゃあヌメリだと。予想通りピエロさん登場で長野メンツはいきなりコミカルに。子供さんを連れて参加された人妻さんもおられまして、この子供さんが大活躍。最初は僕の姿を見てなまはげを見るかのように怯えていましたが、僕が連れてきた愛犬ぬめ(犬のビニール人形)をあげてからは大変身。僕になついてしまって大変でした。最終的には「お兄ちゃんと一緒に行くー」とか大騒ぎしていました。僕としては連れて行っても良かったのですが、普通に未成年略取とかになりそうなのでやめておきました。あと、みんなで駅前の蕎麦屋に蕎麦を食いに行ったのですけど、信州ソバは普通に美味かった。ソバ嫌いの僕でも認めざるを得ないくらい普通に美味かった。昼下がりのマッタリした時間を蕎麦屋で過ごす、どんなオフ会やねんとか思いますけど、普通に楽しい時間を過ごさせていただきました。


長野参加者の皆さんとお別れし、車を走らせて山梨県甲府市を目指します。もう前日の遅刻連発に心を痛めていた僕は改心し、甲府だけは遅刻しないと固く心に誓っていました。すげー時間に余裕を持って出発したし、高速道路を間違えないように細心の注意を払ってたからね。

甲斐甲斐しいまでの僕の努力が実ったのか、甲府開催の集合時間の2時間前には集合場所に到着していた僕。2時間前に到着するなど、もはや遅刻王の汚名を返上するに相応しいとしか言いようがありません。

「さて、集合時間までの2時間、どうやって過ごすか」

普通に到着したのはいいですけど、2時間という時間はあまりに長すぎます。普通にボケーっと待つには長すぎる時間ですからナントカして時間を潰さねばなりません。

「よっしゃ、ネットカフェでメールチェックでもするか」

そういえば何日間もメールチェックをしていなかったことを思い出し、この神が与えたもうた空白の2時間を埋めるべくネットカフェに行こうと決意します。

でな、甲府駅前をトボトボと歩いてネットカフェを探すんだけど、正直、僕は甲府って街を大きく誤解していた。なんていうかさ、甲府ってもっと都会で発展してて、アーバンでファッショナブルな街って勝手に思い描いてた。でもな、実際の甲府の街は本当に酷くて、駅前にはマクドナルドとつぼ八と仏壇屋くらいしかなくてな、もうネットカフェのネの字も存在しねえんだよ。

さすがの僕も、県庁所在地の駅前にネットカフェが存在しないなんて信じられず、ガスガスと歩きながら探すんだけど、もう歩けば歩くほど民家ばっかりの途方もない場所に行っちゃうのな。駅から徒歩数分で普通に民家ばかりの町並み。恐ろしい場所だぜ甲府は。

でまあ、さすがにこんな場所でネットカフェを見つけ出すのは無理と判断し、まだまだ本の売上金で潤っている僕はタクシーで行くことを決意します。きっと、駅前にネットカフェがないなんてことはなくて僕が見つけられなかっただけ、道のスペシャリストであるタクシー運転手なら知ってるさとタクシーを停めます。

「すいません、この近くのインターネットカフェまでお願いします」

「はぁ?」

年配のタクシー運転手が異人を見たかのような表情で言ってました。ああ、終わったな、この人はインターネットカフェなんて知らないや、知るはずもない、そう思いましたね。

「いや、あの、パソコンがいっぱいあって、マンガとか読めたりして」

僕も必死で説明するんですけど、タクシー運転手さんは要領を得ません。

「そういや仲間に詳しいヤツがいるわ。山ちゃんなら知ってるに違いないわ。ちょっと駅まで戻って聞いてみよか」

こうして、僕はネットカフェを探して駅から必死に歩いてきたんですけど、普通にタクシーに乗って駅まで逆戻り。もうなんというか、無駄とか徒労とか超越したレベルで理不尽な気がしました。駅まで戻るのに普通にタクシーメーター回ってたしな。

「おーい、山ちゃん!この辺にインターカフェってのはあるんかいな」

駅前のタクシーがたむろしている場所、そこで山ちゃんを見つけた運転手さんは窓を開けて大声で問いかけます。インターカフェじゃなくてインターネットカフェなのに・・・と思いましたが言いませんでした。パソコンの事を聞かれた山ちゃんは自分の車そっちのけで嬉しそうに近寄ってきて

「なに?どっちがいいの?Win?Mac?」

などと、僕の予想以上のことを質問し返してくるのでした。それに僕は

「どっちでもいいです」

としか答えることができず、ただただ山ちゃんの爆裂パソコントークの前に笑顔で頷くしかなかったのです。

「XXXXにならあるやろ、あそこの4階にあるわ」

山ちゃんは笑顔で運転手さんに告げると満足気に自分の車に帰っていきました。で、またもや運転手に乗せられて走ります。なんというか、この時点でタクシーメーターはえらい金額になってました(時間が経過してもメーターは回る)。

で、圧巻だったのはここから。普通に駅前にはネットカフェがなかったらしく、鬼のような遠くまで乗せられていったのです。もう、ドンドコドンドコ、下手したらこのまま海外に売られるんじゃないか?と心配になるほど遠くまで連行、やっとこさ到着した時にはタクシー料金もエライことになってました。

うん、普通に2時間ほど時間が空いていたはずなのに、気がついたらあと30分で集合時間とか切羽詰った状態になってた。

とにかくココまできたらメールチェックをせずに引き返すのもシャクなので念願のネットカフェに入ってメールチェック、そこから鬼の勢いで店を飛び出して集合場所に向かいます。大丈夫、ココからタクシーに乗ればギリギリで集合時間に間に合う、そう信じて集合場所へと向かいました。

うん、普通にタクシー捕まらねえ。

なんていうかな、ネットカフェがあった場所、微妙にカントリーな場所だったらしく、タクシーのカケラすら通りやがらない。もうそういった罠なんじゃないかと思うほどにタクシーが通らない。どうなってんだ甲府。

「間に合わないよ、間に合わないよ」半泣きになりながら徒歩でトボトボと集合場所に向かって歩いていましたところ、奇跡的に通りかかったタクシーに乗ることが出でき、なんとか遅刻はしたものの集合場所に到着することができたのです。うん、2時間前に到着してたのに普通に遅刻した。


14-2甲府市 甲府駅前
参加人数:22人くらい
売上冊数:0冊
備考
遅刻したくせに何食わぬ顔で集合場所に行く僕。まるで参加者なふりして普通にベンチに座ってじゃがりこ食べてました。集合場所にいる皆が「あのオタク臭いのがpatoなんじゃ」と思いながらも声をかけられない状態。参加者と僕が互いに牽制しあう微妙な状態でした。その後は飲み会に突入、なんか後ろの団体がどっからどう見ても高校生の合コン軍団みたいで騒がしかったのが印象的でした。なんかモバイルを取り出して皆でキャラバン掲示板にリアルタイムで書き込みまくるというインターネットのオフ会らしい一幕も見られ、普通に楽しく過ごさせていただきました。甲府の皆さんありがとう。


そろそろ金が無くなってきたというのに懲りずにホテルに宿泊。心もとない所持金を抱えて岐阜名古屋編へと続く。

3/10のまとめ
売上冊数:3冊
収入:3000円
支出:4万(食事代、コーラ、高速代、駐車場代、ホテル代、タクシー代、ネットカフェ代)
所持金:13万円9千円 20ユーロ 図書券1000円分

累計売り上げ数:708冊

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