温泉に行こう

温泉に行こう

7月頃に料金未納によりガスを止められて以来、ガス湯沸かし器である我が家からはお湯というものが消え失せました。毎夜毎夜、風呂場の垢を舐め取る妖怪の如く水風呂に入ることを余儀なくされている私、Numeriのpatoで御座いますが、幾分と水風呂にも慣れてまいりました。

最初こそは、俗世の甘えなど一切許さぬといった容赦の無い冷水攻撃に身悶え、マイケルジャクソンの如く甲高い叫び声を上げて水風呂に浸かったものですが、最近では至極普通、高貴なセレブの表情で冷水に浸かっているものです。

深夜の気温が氷点下になろうかという夜にも水風呂、雪がしんしんと降り積もる夜にも水風呂、とにかく水風呂三昧で御座いますが、ここでとある事実に気がついてしまうのです。

いやな、最近の目下の悩みであるところの「肩こり」、実はコレは毎夜の水風呂が原因なのかもしれない。

言うまでもなく、「肩こり」とは血行の悪さにその一因があります。まあ、けっこう血行の悪さが効いてくるってことですね。肩周辺の血行が悪い故に老廃物が蓄積しやすく、そこで肩こりが引き起こされるわけです。

ならば血行を良くするためにはどうしたらいいか、と考えると、これはもう温めるのが最善の方法なのですよね。患部を温めて血の巡りを良くし、老廃物の蓄積を防いで肩こりを解消する。これが最良の方法なのです。

しかしながら、毎夜のごとく水風呂に浸かる僕、温めるどころか逆に冷やしている始末です。風呂から上がった後にいつも「寒い寒い」と連呼し、鼻水をジョルジョル流している僕にとって「血行を良くする」という言葉は縁遠く、逆に血行を悪くしすぎ、下手したら心臓麻痺で死ぬんじゃないかと心配になるほどです。

そんなこんなで、僕の肩こりが劣悪な状態になりつつあるのは全て水風呂が原因であると考え、いくらなんでもそれはマズイだろう、ということで温泉に行くことにしました。ユックリと温泉に浸って血行を良くしつつ、それでいて温泉の効能で肩こりも治癒する。それこそが今取るべき最善の策なのです。

一口に温泉といっても様々なものがあります。高級温泉宿に宿泊して料理に舌鼓を打ちつつ、ピンクコンパニオンを呼んで乱痴気騒ぎ、それでいて露天風呂に浸かって肩こりを治癒する。なんてのが理想ですが、あいにくガス代未納者にそこまでする財力はありません。そこで、もっとも安価に済むであろう温泉を試してみました。

まあ、ぶっちゃけ近所にある健康ランドなんですけど、なんでもココは温泉が湧き出ているらしく、ものすごく安価に温泉に浸かることが出来るのですよね。まあ、だいたい数百円くらいですかね、ちょっとなかしパワーアップした銭湯みたいなイメージで、物凄く気さくに入ることができるのですよね。

でまあ、タオルとか着替えとか持って、意気揚々とその健康ランドに行ったんですよね。でまあ、行ってみて最初に驚いたのは、店の従業員が全員若い生娘なのな。年頃の、セックス盛りみたいな生娘なのな。普通こういった場末の健康ランドなんて、生理の上がったようなオバチャンが従業員だったり、山下君のお母さんみたいな人が働いていたりするのですけど、これも不況のあおりなのか若い生娘が働いてるの。

で、靴をロッカーに預けてさ、入場券だかを買って受付に出すんだけど、受付の姉ちゃんがコレまた中島美嘉みたいにちょっとヤンキー入ってるけどかわいくてさー、すっげえ見とれちゃったりするの。で、その姉ちゃんの後ろには銀色の看板があってさ、

当温泉の効能

神経痛・リュウマチ・冷え性・疲労回復・肩こり・腰痛・高血圧・心臓病・皮膚病・痔・水虫・便秘・胃腸病・イライラ・不眠症

ちょっと効能が多すぎだろ、これじゃあ何にでも効くってことじゃないか、って思うのですけど、シッカリと「肩こりにも効く」という表示。美嘉の前で「よし、いける!」と小さくガッツポーズ。ロッカーの鍵を受け取って意気揚々と脱衣所に行ったのですよ。

それでまあ、自分のロッカーでいそいそと服を脱いで全裸になっていたんですけど、物凄い勢いで女性従業員が入れ替わり立ち代り入ってくるのな。まるで、僕のチンコで見たいのかい?キミ達は?って言いたくなるほど激しく女性従業員が出入りしてくるの。

普通の銭湯とか健康ランドでもそうなんですけど、なぜか男湯とか男湯の脱衣所というのは治外法権です。僕らが男しかいないからとチンコをブラブラさせて、まさに地面に引きずるようにして全裸で歩いているというのに、オバチャン従業員は平気で入ってきます。平気で入ってきて掃除などをしています。

これが逆の立場で、オッサン従業員などがエロス過積載に女湯に掃除とかしに行こうものなら、徹底的に世論で叩かれ、土井たか子先生もたいそうご立腹することになるのですが、男湯ならなんら問題になりません。

でまあ、他の銭湯や健康ランドなどでは脱衣中にオバチャン従業員が入って来ようものなら、僕も僕で恥ずかしいですから両の手で極部と乳首を隠し、頬を赤らめたりするのですが、この温泉だけは違います。なにせ従業員が若い生娘、騎乗位が得意そうな生娘ですから、僕は率先して見せつける方向へとシフトするのです。

そんなこんなで、なるべく僕の陰茎を見ないように洗面台を洗う俯き加減の生娘従業員に、それを見てひどく興奮する僕、さらに元気になるご子息、なんていう憲兵に逮捕されても文句言えない構図が出来上がってるのですが、ここで途方もない事件が巻き起こるのです。

どっかの家族連れが連れてきたクソガキなんでしょうが、年端も行かない男児が狂ったように、少し脳みそがこぼれてるんじゃないの?と疑いたくなるほどに脱衣所で大騒ぎし始めたのです。

「チンコ!チンコ!」

その子供は脱衣所という非日常が嬉しいのか、見知らぬ他人のお兄さんやオジサンが全裸になっているのが楽しいのか、とにかく「チンコ!チンコ!」と見知らぬ他人の陰部を指摘しながら脱衣所ないを縦横無尽に駆けずり回っておりました。

男同士です。恥ずかしがらずに極部を顕にしていた一般客どもも、ガキに「チンコ!」などとチンコを指して指摘されると妙に気恥ずかしいらしく、いそいそと手ぬぐいで極部を隠したりしていました。なるほど、普段は恥ずかしくないのに、当たり前のことを当たり前に指摘されると恥ずかしいものなのか、と妙に感心して眺めておりましたところ、そのクソガキが女性従業員に陰部を見せつけていた僕の所にもやってきました。

「チンコ、チンコ!」

あいも変わらず、何の芸もなく壊れたステレオのように繰り返すクソガキ、そこで僕が取った行動は、恥ずかしがって陰部を隠すでもなく、子供を叱りつけるでもなく、ただただ直立不動で仁王立ち。

「どうだ小僧?これが大人ってもんだぜ。オナニーにオナニーを重ねて培ったこのブツはまさに男の年輪、ここの皮膚は鉄より硬いんだぜ。がはははははは」

と言わんばかりにチンコを見せつけて鬼無双。これでもかと言わんばかりに仁王立ち。ラオウのように仁王立ち。その姿はまさに現代に蘇った風林火山の如し。僕の股間からはゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴという効果音が鳴り響いていたからね。

一般客が恥ずかしがってチンコを隠す様子を面白がっていたクソガキも、さすがにこれには面食らった様子で、あわあわと口をパクパクさせておりました。

「こら!タカフミ!コッチ来なさい!ちゃんと体を拭きなさい!」

そこにやってきた30代半ばほどのオジサン、多分お父さんなのでしょう、クソガキを叱りつけると腕を引っ張って連れて行ってしまいました。

「こういう場所で騒ぐなって言っただろ!」

ヒステリックに怒り狂い、バシバシとタカフミ君の頭を殴りつけるお父さん。いや・・・確かにタカフミ君は騒ぎすぎたけども、調子に乗りすぎたけども、なにもそんなにヒステリックに怒らなくても・・・そんんあイライラしなくても・・・。有り得ないほど怒り狂うお父さんを見てそう思ったのでした。

で、いよいよ温泉本体へ突入となり、体を洗ったり久々のお湯の感触を楽しんだり、サウナに入ったりして楽しんだのですが、なんか様子が変なのな。

湯船に浸かっている爺さんとか、ジェットバスに浸かってるホルマリン漬け一歩手前の爺さんとか、なんかやけに怒ってるの。湯船にタオルとか漬けてるバカな若造とか見て、

「こら!汚いだろ!」

とか、鬼軍曹みたいに怒ってるの。確かに、そういった若造の行動は公衆浴場ではあるまじき行為なんだけど、何もそんなに怒らなくてもいいじゃない、ってぐらいに怒ってるの。

で、風呂から上がったらロッカーが壊れて開かなくなったとかで気の弱そうなサラリーマンがガンガンとロッカーをぶん殴ってるの。おいおい、何をそんなにイライラしてるんだい?って尋ねるのも怖いくらいに荒くれてるの。

すっげ怒るお父さんに、烈火のごとく怒る爺さん、そして大暴れのサラリーマン。そいでもって僕のセクハラに明らかに訝しげな顔をしている女性従業員。なんか、この温泉に浸かりに来ている人が皆イライラしてるのな。

なんてバイオレンスな温泉なんだ、みんなイライラしっぱなしじゃないか

なんて思いつつ、もう帰ろうと受付に戻って靴を入れたロッカーの鍵を受け取ってると、中島美嘉みたいな従業員の後ろにあった看板の効能の部分がまた目に飛び込んできました。

当温泉の効能

神経痛・リュウマチ・冷え性・疲労回復・肩こり・腰痛・高血圧・心臓病・皮膚病・痔・水虫・便秘・胃腸病・イライラ・不眠症

おいおい・・・全然効いてないじゃないか、なんかみんな逆にイライラとして殺伐としていたぜ。

ホント、全然効かねえ温泉だなー、ボッタクリじゃねえか。と帰路につきながら僕までもイライラしてきたのでした。それでもまあ、美嘉みたいな従業員目当てでまた来よう、そう思うのでした。肩に走る肩こりの痛みを少しでも和らげようと、腕をグルグルと回しながら。

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