債権回収業者と対決する

債権回収業者と対決する

どんな返事が届くかなと回答を心待ちにしていたのですが、回収業者担当佐野から届く手紙はお決まりの「テレホンセックス代未納」のハガキばかり。一日に一通のペースで例のハガキが同じ文面で届きました。全く持って質問に対する返答はなし、ただマイペースに6万円を請求するハガキだけが届きました。

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連続して届けられるテレホンセックス代未納ハガキたち。

どうやらこれが彼らの精一杯の反抗のようです。嫌がらせのつもりなんでしょう。多分、彼らは僕の書いた質問状の内容を理解できないのでしょう。請求に対してキチンと説明し、証拠を提示してくれるのならいくらでも払うと言っているのに、説明することもしようとせず、一貫して嫌がらせばかり。

これが「債権回収業者」を名乗る「悪質な取立て屋」の実態です。

でもまああ、こんな嫌がらせに屈するような僕ではありませんから、徹底的に無視。質問に対する回答以外の手紙には反応しない、2週間以内に回答が得られない場合は警察に届け出る、というスタンスは守ったままでした。


すると二週間後。

マジで警察に届け出られたらかなわんとでも思ったのでしょうか、期限の2週間にピッタリ合わせた形で「回答書」なるものが届きました。赤で縁取りされた懐かしい封筒入りで、「債権回収業者 担当佐野」名義で回答書が送付されてまいりました。

気になる回答内容は、

1.どうして最初の請求で6万円だった請求額が、1万円の入金確認後もそのままなのか

という質問に対しては

「今現在、債権発生から約1ヶ月経過しております。1日に300円の延滞料が加算されますので、300円×33日で1万円の延滞料が上乗せされています。つまり、最初の督促状で6万だった請求額が、振り込み後は7万円になっており、振り込み額を相殺して6万円になっています」

いや、意味わからねえんだけど。

確かにこの時点で1ヶ月近い時間がかかっています。しかしながら、振り込みを行った直後でも請求額が減ることはありませんでした。だから、最初の請求から1ヶ月経った分の延滞料を相殺しているから請求額が変わらないのだ、という主張はありえません。

さらに、1日300円の延滞料なんてありえません。レンタルビデオ屋じゃないんだからさ。6万円の請求に対する延滞金だとしても利息が年率で282%になる計算です。1万の請求に対するものなら1000%を超えます。どこの悪徳高利貸しですか、佐野君は。

その前に、最初の6万円の請求は延滞料を含むとされているのに、ここでもまた延滞料を取られるという延滞料の二重取りになっている。明らかにこの返答はおかしい。

素直に「請求額をドンブリ勘定で決めてるので、一部を振り込まれてるの忘れちゃいました」って言えばいいのに。

おまけに、これは忠告なんだけど300円×33日は9900円だから。1万円じゃないから。電卓ぐらい使ったほうがいいよ、債権回収業って曲がりなりにも金を扱う仕事なんだろ?

2.債権譲渡されたという連絡はうちには来ていない。貴社は請求権を有しているのか、証明せよ。

3.そもそも貴社は法務省が許可した債権回収業者一覧に記載されていない

という、債権回収代行業に関する質問には

「我々は債権を譲渡されて回収を行っているわけではありません。我々は番組提供会社の債権回収部門です。同一会社ですから、提供業者から債権回収を委託されているわけではなく、あくまで番組提供会社の回収業務です。ですから債権譲渡もなく、法務省の許可も必要ありません」

えーっと、佐野君。キミは最初に僕に送りつけた「督促状」を覚えているかな?覚えてないならもう一度見てみるといいよ。「委託をうけ債権回収を代行して行うことになりました」って書いてあるから。アンタ自身が「自分は債権業者だ」って明言してるのに、その矛盾点を指摘されると「番組提供業者の回収部で、代行業者ではありません」ってか。随分と都合がいいものだな。

というか、僕は佐野君の言い訳が聞きたかったのではなく、「正当に請求権を有している」ことを証明してくれとい言ってるのです。同一会社だから請求に問題はないというのならば、佐野君の部門と番組提供会社が同一であることを証明できる書類などを提出するのが筋ではないか。

多分これはですね、佐野君が言うとおり債権回収と番組提供会社は同一なのだと思うのですよ。序盤戦からそうでしたが、会話の録音テープ問答で佐野君はなぜか番組提供会社っぽいスタンスで説明してました。僕が提供会社宛に振り込んだ1万のことも早期に知ってましたし。間違いなく彼は提供会社の一員だと思います。

なのに何故「債権回収業者」を名乗ったか。これはそう名乗ることで相手が怖がるから。「番組提供会社」の名前では舐められるが、「債権回収代行業者」と名乗ればなんとなく恐ろしげで怖い。

さらには、提供会社の手を離れ、別会社に債権が渡ったと思わせることで、請求額を上乗せしやすい。別会社に渡った時点でその会社の利益も出さないといけないから請求額が上乗せされるのはなんとなく分かる。一般的にはあり得ないことだけど、なんとなく理解しやすい。

そういった「脅し」「請求額の上乗せ」って事情があったので債権回収業を名乗ったのだと思います。これだけ取ってみても、彼らがいかに不当でダークな請求をしてるのか窺い知ることができます。

4.上乗せされた5万円の請求の内訳を示せ。調査費という名目で調査にかかった費用を請求しているのなら、その費用が分かる資料も提出せよ

と言う質問に対しては

「上の回答でも述べましたように1日300円の延滞金×日数です。残りは調査費で、合わせて5万円上乗せされています。」

いや、回答になってねえんだけど。全く回答になってねえよ、佐野君。どうしちゃったんだキミは。僕の質問している意味分かってる?

いやね、まず1日300円という延滞金。これ自体が法外であり得ない金額ですが、それは先に振り込んだ1万円と相殺されたって上で言ってるじゃん、アナタ。それが6万にも延滞金が振り込まれてるってか?意味わからねえよ。

おまけに、かかった費用が分かる資料を示せって言ってるのに「残りは調査費です」ってなんだ。その調査費が何なのか知りてえから質問してるんだろうが。調査費だってのは分かってるよ、ボケ。それの内容を詳細に示せって言ってるんじゃんか。

まあ、どうせ吹っかけるために適当に決めた請求額なんだろうから、内訳や裏づけ資料を示せってのは無理な話ですわな。示せないからうやむやにして誤魔化すくらいしか佐野君には無理なんでしょうな。

このことから、上乗せ額は不当なものであり、支払うべき根拠はどこにもないということが伺えます。

このように、もらった回答書は何一つ満足に質問に答えておらず、頭の悪い自分勝手な理論に終始したものであることが分かりました。ここはキチンと意思を明確にするため

「満足する回答が得られていないので支払えない。再度質問状を送付するので回答して欲しい」

といった手紙を再度送ります。

どんな場合でもそうなのですが、質問に対する返答が帰ってきた場合、その回答を踏まえてもう一度突っ込んで質問することをお勧めします。就職試験で企業側に質問する場合なども、返ってきた答えを踏まえて突っ込んで質問する

「○○はどうなんですか?」→「Aです。」→「Aということですが、それはBを考えた場合問題にならないのですか?」

質問をワンターンで終わらせず、先方の回答によって生じる疑問をさらに質問する。やりすぎるとウザイですが、これだけでグッと印象が変わってきますから、就職活動などに役立ててみるといいかもしれません。

で、今回の場合も就職活動ではないですが、回答を踏まえてさらに質問します。

「延滞金は不当な金額だ。なぜ最初に債権回収業を名乗ったのか。同一業者である証明をしろ。調査費の内訳とそれを証明する資料を提出しろ」

と回答を受けて、それによって生じる疑問をさらにぶつけてみました。もちろんあ、赤に縁取りした封筒で、宛名の横に「佐野君はもうちょっと算数の勉強が必要」と赤で書き込みをして。

どんな返事が届くかなー。またアホみたいな回答が帰ってくるのかな、と一日千秋の思いで待っていたのでした。


しかしながら、10日待っても20日待っても一向に回答は得られませんでした。届くのは見慣れすぎたテレホンセックス代未納の請求ハガキが10日ごとに来るだけ。なんだかちょっと佐野のヤツに裏切られた気分です。

佐野のヤツ裏切りやがって、と憎憎しく思いながら、どことなく寂しげな気持ちで10日ごとに佐野から届く請求ハガキを眺めていたところ、途方もないことに気がつきました。裏面の請求額のところなんですが、

10日後
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20日後
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30日後
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ふ・・・・増えてる!!!請求額が増えてるよ!奥さん!

佐野のヤロウ、まだ死んではいなかった。10日ごとに3000円づつ請求額が増えていることから、佐野の導き出した黄金の佐野方程式「300円×日数=延滞金」に沿って算出していると考えられる。

質問状への回答で「300円×日数の延滞料がかかる」なんて苦し紛れに答えちゃったものだから、引くに引けなくなって請求額を上乗せしているに違いありません。

僕の送った再質問状がよほど都合が悪いのか返答することはせず、ただ黙々と自分たちの理論に沿った延滞金を上乗せした請求書を送りつけてくる集団。なんなんだコイツら。

ここで僕は反撃に出ます。一方的に請求ハガキを送られるのはシャクですから、こっちも質問状を毎日送ってやりました。

向こうが10日に一通の頻度で送ってきてたのに、こっちは毎日毎日。

「佐野さん質問に答えてください」

「どうして答えられないのですか」

「はやくしてください」

「回答待ってます」

「まだですか?」

「会社の前に質問状を張り紙しに行きましょうか?」

「質問には回答するって習いませんでしたか?」

「回答が得られるまでなりふりかまいませんよ」

「あなたにも家族がいるんでしょ?子供さんとかにも質問しましょうか?」

「自発的に脅しの手紙は送ってこられるのに、どうして質問に回答する手紙は送れないのですか?」

ええ、佐野が使った脅し的言葉やセリフを、そのまま佐野に対して返してみました。

それでも一向に返答はなし。


そんな激しい攻防戦が続き、このまま膠着状態が続くかと思われたある日のこと、

プルルルルルルル

僕の携帯電話が鳴りました。

はい、そうです。実家の親父からの電話です。

実家の親父のヤツ、開口一番

「オマエ、テレホンセックス代はらってねえのか?」

とか半笑いになりながら言ってます。コイツ、明らかに楽しんでます。

なんでも、多分、佐野だと思いますが、会社名も名前も名乗らない人物から「息子さんがテレホンセックスをして料金が未納だ、お父さん払ってくれませんか?」と電話してきたらしい。

僕がキチンと対応する、逃げないからと、忙しい時間を割いて質問状などで交渉しているのに、僕を飛び越して実家の親父に請求する。質問に対する回答は都合が悪いから無視。これが悪徳業者のやり口です。佐野のヤロウ、なかなかやるじゃねえか。

でもまあ、ウチの親父は狂ってますから

「ワシだってテレホンセックスしたい、したくてしたくて仕方ないのに金がないから我慢してる。なのになんで息子の下半身の世話までしなきゃいかんのだ。息子のテレホンセックスだ、息子に払わせろ」

とか

「そもそもテレホンセックスってなんだ?受話器にチンコ擦り付けるのか?」

などとクレイジートーク全開でつっぱねたらしいです。

すると佐野のヤロウは

「じゃあ、息子さんに請求するから携帯番号と勤務先を教えて欲しい」

とか言い出したそうです。佐野は僕の携帯番号と勤務先の情報は握ってなかったようです。まあ、勤務先情報なんて持ってたら、いの一番に勤務先に嫌がらせで取立てしてくるでしょうからね。

その時点で親父は悪質な業者だと判断。

「息子は携帯電話持ってるが、ワシには番号を教えてくれない。僕ちゃん父親として嫌われてるの」(ウソです)

「息子の仕事は街から街へ流れるジプシーダンサー。特定の勤務先はない。今頃どの街で踊ってるのかワシも知らない」(もちろんウソです)

と、むやみに個人情報をださずに、からかって遊んでいたようです。相変わらず佐野のヤツ、親父に対してもヤクザのような口調で脅していたそうですが、そんなのでビビる親父ではありません。笑いをこらえながら2時間ほど佐野の相手をしてあげたそうです。

そこで僕は親父に事の経緯を説明。親父も納得してくれ、しかも、お喋りな人ですから、話し相手がいなくて寂しい時に佐野から電話がかかってくるから嬉しい。などといってました。


それからは、僕に対してはテレホンセックス代未納のハガキも来ず、請求の電話もかかってこなくなりました。もちろん、質問の回答も無し。

その代わりに、実家に対して督促の電話がかかるようになり、テレホンセックス代未納の請求ハガキがガシガシ届くようになったようです。

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もちろん、請求書が来るたびに佐野の方程式に従って請求額は増えていました。

多分僕は、相手にするのは困難。それならば話を聞いてくれる実家の親父のほうが攻略できる、と佐野がその小さい脳味噌で判断したのでしょう。あいにくと、親父のほうが金に関しては難攻不落だと思いますが。


このように、債権回収業者を名乗る業者の請求は、ほとんどの場合がいわれのない不当なものであります。請求額が不当に高くなることが多いようですが、その場合はその請求額自体に何の根拠もありません。少し突っ込んで質問してやると答えられず、一方的に嫌がらせや脅しによる請求しかできない、それだけ正当性がない請求だということです。

そいでもって、請求してくる側は人語を理解しませんので、自分たちの理屈で好き放題やってきます。

今回は、僕が利用料金を延滞したばかりに不当な高額請求をされましたが、一時期被害が多発した「ワンギリ詐欺」や「利用もしてないのに請求書が届く」といったものも根底は同じです。

なるべく高い金額をガッポリと請求し、そのうち何人かに払わせれば大儲けという算段のようです。

そしてその取立て手法は「個人情報を盾にした脅し」。入手した個人情報を使い、近所や実家、勤務先に嫌がらせをして当人の社会的立場を脅かす。そうされると数多くの人が数万円くらいならと払ってしまうのでしょう。

今回の佐野のケースは、僕の電話番号から入手した個人情報は「本名」「住所」「電話番号」「実家」でした。実家の情報も同時に漏れていることから学生時代に加入したレンタルビデオ屋の会員情報が漏れていると考えられます。学生は実家の住所も書かされますから。

こういったものは仕方ないですが、街頭でのアンケートや、宅配便の伝票、カラオケ屋などからも個人情報は流れると聞きます。安易にそういったものに個人情報を書かない、特に勤務先だけは書かないように気をつけましょう。勤務先情報が流れ、職場に嫌がらせされたら致命的ですから。

会社の受付の女の子に「○○部署にpatoさんっているでしょ?その人女の子とテレホンセックスしてお金払わないんだよ、ひどいでしょ。キミからも払うようにいってあげてよ」とか言われたら死ぬしかないですし、上司とかに言われたら人生終わります。

僕はいかなる場合でも携帯番号と勤務先だけは記入しません。絶対に記入しません。だから今回も佐野は携帯番号と勤務先情報だけはどうしても入手できず、そこまでの嫌がらせはできなかったようです。勤務先が漏れてたら脅しに負けて払っていたかもしれません。

とにかく、個人情報は大切。特に肝となる勤務先情報だけは絶対に漏れないように気をつけねばならないというお話ですな。

あと、「ワンギリ詐欺」「使ってもないのに請求書が」という詐欺はもちろんですが、実際に利用して延滞した場合に請求される「調査費や延滞金」もその大部分がいわれのない請求であるので払わなくて良い。ということですな。

きちっと利用した分だけのお金は、あとは正当だと認められる延滞金ぐらい(微微たる金額です)しか払う必要はないということです。

脅しに負けて払ってしまうと、カモリストに加えられ、そういった業者を駆け抜けるため言われのない数多くの請求が舞い込むようになるそうなので気をつけましょう。


はい、長々と書いてきた債権回収業者と対決する、もこれにてお終いです。実はこれ、内容でもちょっと触れましたが約二年前に行われた対決です。

二年前はこういった詐欺まがいの請求の全盛でしたが、最近ではこういったものも減ってきているといいます。それでも、経営の苦しくなった業者が死に物狂いで請求しているケースもあり、まだまだ被害報告が絶えない状況のようです。

こういった請求に苦しめられている人のために今回これを公開しました。また無関係な人にも、今後巻き込まれることのないように注意喚起になれば幸いと思っております。

一度巻き込まれてしまうとヤツらは本当にしつこいですから、なかなか諦めません。こんなしつこく、人語を理解しない連中には、巻き込まれないのが一番の得策です。

現に、二年前に行った佐野との対決。二年の時を経た今でも、一月に一回は例のテレホンセックス代未納ハガキが実家に届きます。たまに親父に請求電話もかかってきて、良い話し相手になってるみたいです。親父が一方的に話してるみたいですが。

さらには請求額も佐野の方程式に従って、300円×約2年ですから

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えらい事になってます。こんなアホのような請求書を送ってこられる佐野の神経が理解できない。誰が払うかてんだ、バカ。本当に1万円の延滞金で25万円も取れると思ってるのか。アホじゃねえのか。

こういった常識を持ち合わせない人間、法的な筋を通さず脅ししかできない人間を相手にするのは疲れるし損ですから、個人情報を守ると共に、なるべくツーショットダイヤルなど怪しげなサービスはりようしないようにしましょう、というお話でした。

おしまい。

それにしても25万て。

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