パワーショベルパニック

パワーショベルパニック

前にも話したかもしれませんが、ウチの実家は建設業を営んでいるんですよ。家にはイロイロと重機やなんかがありまして、パワーショベルやダンプカーみたいなもんまであるんですよね。幼い頃から僕はパワーショベルの運転を仕込まれていました。デッカイアームでガリガリと穴を掘るヤツね。で、庭に大穴掘って死んだ猫とかを埋葬していました。

ここで、私の生まれ育った町について述べておきますと、まあ、かなりの田舎町です。ほんとうに何もないようなコンビニもないトコロですよ。娯楽もありません。若者達は車に楽しみを見出し、高級車や高価なスポーツカーなどを乗り回し、飽きたら改造する。こうして田舎ヤンキーが出来上がっていくのです。

学生時代に帰省した際に友人の家で皆で集まろうということになったのですが、まあ来るわ来るわお下品な改造高級車の山山山。セルシオやベンツ、シーマなどが見るも無残にヤンキー仕様に改造されていました。とてもじゃないがカタギの人間の集まりではありませんでしたね。でも、僕はといいますと金のない貧乏学生ですよ。近所だったので車どころか自転車で友人の家にいってました。

久々の再会に懐かしむ旧友達。しかし、話題と言えば車の話ばかり。やれセルシオがどうしただの。俺のベンツが調子悪くてだの、車を持っていない僕はサッパリですよ。で、みんなで車を囲んで記念撮影をしようだとか、車を交換して乗り心地を確かめ合おうですとか、レースをしようですとか、もう車を持ってない僕はお呼びではないんですよ。車を持ってないってだけで邪険に扱われるんです。

そうすると、何故か僕も小学生時代に自分だけファミコンを買ってもらえなかったことを思い出して妙に悔しいんですよ。

こうなったら、こいつらを見返してやる。車なら持ってきてやる、あっと驚かせてやる。そ僕は急いで家に帰り、禁断のマシンを出撃させるのです。

ええ、パワーショベルです。

キュラキュラとキャタピラの音をさせながら公道をひた走るパワーショベル。はっきり言って田舎だからできる技です(違反です)

もう友人達は目ン玉ひん剥いて驚いてましたね。突如表れたパワーショベルに。

お前らのセルシオもベンツもひとひねりだぜ、と言わんばかりのパワーショベルの雄姿。圧巻です。なんか気分が良かったです。俺の勝ちだなと。


でもねでもね、その後、皆が車で飯食いに行っちゃったんだけど、パワーショベルじゃ遅すぎてついていけませんでした。

泣きながら家に帰り、庭に意味もなく大穴をあけましたとさ

×パワーショベル−セルシオ○

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